レギュラー到達のアタッカーは25年間で4人だけ――久保建英はレアル・マドリーで輝けるのか?

カテゴリ:海外日本人

加部 究

2019年07月04日

1年前は「日本のメッシ」が本物に近づく日が来るとは…

6月9日のエルサルバドル戦でA代表デビューを飾った久保は今後、9月からのW杯アジア予選でも貴重な戦力となりそうだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 率直に、今、久保がR・マドリ―と契約をすることに際立ったメリットは感じられない。先述のとおり、R・マドリ―のレギュラーが最終目標なら、少なくとも世界で指折りのアタッカーになるしかない。当然R・マドリ―が所有する選手なので、レアルBでのパフォーマンスや紅白戦などを通してアピールの機会には恵まれ、他クラブの同等レベルの選手よりは優先されるだろう。
 
 しかしレアルBが属する3部リーグは、急成長中の久保の能力を最大限に引き上げる場だとは思えないし、反面久保とは桁違いの違約金(約58億円)を支払って獲得したロドリゴを筆頭に、ライバルたちの水準は極めて高い。そのうえトップに昇格できたとしても、レギュラー奪取は至難の業で、常勝を求められる分だけ見切りをつけられるのも早い。ボクシングに例えれば、R・マドリーのレギュラーは統一世界チャンピオンなので、圧倒的なパフォーマンスで防衛し続けない限り、次はクラブから出ていく運命が待っている。
 
 結局久保が参戦したのは、世界最高のアタッカーの座を賭けたレースだ。本来ならR・マドリー内部に属すより、適正水準のクラブでプレーし続ける方が効率的だったと思う。もしR・マドリ―で1年後にトップ昇格したとしても、出場機会が見込めなければ他のクラブに貸し出されるので、それなら1年間の遠回りになる。
 
 だがそれは、あくまで過去の例を頼りにした常識的な見方だ。リオネル・メッシが初来日したのが2004年。才能は見て取れたが、まだ大きなインパクトはなかった。それから2年後には19歳になり、アルゼンチンークロアチア戦で直に確認すると、相手DFはまったく対応不能で1ゴール・1アシスト。もう世界一の選手になる未来は見えていた。
 
 1年前は「日本のメッシ」が、本物に近づく日が来るとは到底思えなかった。長く子どもたちの育成過程を見て来た関係者からは、究極の絶賛が耳に入って来たが、どうしても大人と比べてしまうと将来非力を克服できるのか、などに疑問符がついた。
 
 ところが今年のJ開幕からFC東京でレギュラーの座を奪うと、試合ごとに成長のスピードを加速させていった。切れ味を増すドリブルでマークする相手は次々に転倒するようになり、そんな武器を備えながら状況に応じた判断は成熟している。コパ・アメリカのチリ戦でも前半は戸惑ったが、後半は切り札として機能した。
 
 日本からメッシは生まれない――。それは過ぎ去っていく常識なのかもしれない。そしてもしも久保が世界で指折りの選手になる日が来るなら、R・マドリ―選択は最善だったことになる。

文●加部 究(スポーツライター)

※『サッカーダイジェスト』特集・久保建英、新天地での未来予測――7月11日号(6月27日発売)より転載。
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