福西　でも、あれは楽しかったですよね。疲れたって感じで練習場に行っても、秋田さんと中山さんが張り切ってやっているから。あ、これは僕らもやらなければとも思った。

秋田　めちゃくちゃテンションを高くしてね。もう、やらざるを得ない状況にする（笑）。

福西　練習の内容も濃かった。

秋田　自分で言うのもあれだけど、そういう雰囲気を作ったことで、途中から入った選手とかも良いパフォーマンスが出せていたはず。自分は大会直前の欧州遠征にも参加していなくて、サプライズ選出だったけど、チームのために仕事ができたのかなと今でも思う。レギュラーは試合に集中して、サブ組は全体を見ながら振る舞うのが大事かな。

福西　ワールドカップを経験して、本当の意味で理解できました。23人で戦うっていうことを。

――短期間といえども、大所帯で日々を過ごすわけですから、ひとつにまとまらなければならない。

福西　しかも、監督が交代した今の日本代表の状況を考えれば、余計にひとつになる努力が大切になってくるはず。そのためには、どれだけ選手同士で対話ができるか。相手を思いやる気持ち、気遣いが重要かな。

秋田　時間がないだけに、コミュニケーションは大事。

福西　プレーにしても、『こうしてほしい』とか、自分から発信できるタイプのほうがいいですよね。聞く側としては、言われることをすべて真に受けなくてもいい。それはその人の意見だから。

秋田　100パーセント、正解じゃないからね。情報を与えて、取捨選択して、成功の確率を高めればいい。
 

福西　チームのために、どう割り切れるか。そのなかで自分も活きるようにする。だから、繰り返しになるけど、積極的な対話はあったほうがいいし、ガツンと言うタイプも必要かなと思う。年齢に関係なく、嫌われてもいいから、試合中だけでなく、練習中からも厳しいことを言える選手がいれば、チームも引き締まる。

秋田　自分の経験上、厳しいことをいうのは、後ろの選手のほうがいいような気がする。今でいうと、吉田や川島（永嗣）とかかな。

福西　例えば、昌子（源）は、周りを使えている印象があるから、やかましいぐらい言ってもいい。

秋田　たとえ聞いてくれなくても、言い続けることで、そのうち聞いてくれるようになるから。

――最後に、西野ジャパンで最も選考が難航しそうなセクションは？

福西　ボランチですか？

秋田　そうだね。そこの構成だね。

福西　守備的に行くのか、攻撃的に行くのか。両方のバランスをうまく取れるようにするのか。方向性によって違ってきそうですね。

秋田　いずれにしても、何人かは自分が選ばれると確信している選手はいるだろうけど、それも少数派で、それ以外は本当に分からない。

福西　ただ、もうワールドカップモードに入っているでしょうし、可能性のある選手はみんな準備をしているはず。誰が23人に入り込むか。今から楽しみですね。 
 
取材・文●広島由寛・本田健介（サッカーダイジェスト編集部）