【黄金世代】第5回・本山雅志「あの日サンドニで、ジダンに見とれてた」(♯5)

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年12月14日

「サッカーって楽しくない?」

サッカー少年たちにサッカーの本当の楽しさを伝える──。容易にその光景が想像できるのだから不思議だ。本山の“その後”にも期待したい。写真:筒井剛史

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 つい最近の話だという。本山はひとりでグラウンドに出て体幹トレーニングに勤しんでいた。
 
 ふと、彼の下にひとりの大学生が近づいてきた。サッカー部の練習で来ているようだった。
 
「すごくいい身体してますね。なにかスポーツをされてるんですか?」
 
 そう尋ねられたので、「あそこのポスターにも映ってますけど、プロのサッカー選手やってます」と答える。さらに大学生が畳みかけた。「なんでそんな楽しそうにサッカーしてるんですか?」と。この男に対しては、愚問と言わざるを得ない。お返しの決め台詞はこうだ。
 
「サッカーって楽しくない?」
 
 大学生は「はあ……あ、楽しいです」と言いながら立ち去った。
 
 ほどなくして、若者は猛ダッシュで舞い戻ってきた。監督かコーチに、そのフットボーラーの素性を聞いたのだろう。かつて黄金世代の主軸メンバーとして鳴らし、日本代表や鹿島アントラーズで活躍した郷土の英雄だ。「サ、サインをください!」と、おねだりされた。
 
 本山雅志は大声で笑いながら、ペンを走らせた。

<了>
 
取材・文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
【本山雅志PHOTO】稀代のドリブラーのキャリアを厳選フォトで 1995-2017
───◆───◆───
 
PROFILE
もとやま・まさし/1979年6月20日生まれ、福岡市北九州市出身。3つ上の兄の影響でサッカーを始め、地元の二島小、二島中でアタッカーとしての才能を育まれる。高校は名門・東福岡へ。1年時はボランチで選手権ベスト4、3年時にはナンバー10を背負って伝説の3冠を達成した。ユース代表でも攻撃の中枢を担い、98年アジアユースで得点王を獲得。鹿島アントラーズ入団2年目の1999年、ナイジェリア・ワールドユースでは自慢のドリブルを炸裂させ、U-20日本代表の準優勝に貢献、大会ベスト11に選出された。2000年のシドニー五輪にも出場。鹿島では5度のJ1リーグ優勝を含む14個のタイトルを獲得。17年間在籍し、13年間に渡って背番号10を着けた。そして2016年、生まれ故郷を本拠地とするギラヴァンツ北九州に移籍し、現在に至る。00年6月のボリビア戦でA代表デビュー。W杯出場は果たせなかったが、04年アジアカップ、05年コンフェデ杯などで存在を誇示した。日本代表通算/28試合出場・0得点。Jリーグ通算/405試合・38得点(J1は365試合・38得点)。175センチ・65キロ。A型。データはすべて2017年12月13日現在。
【PHOTO】厳選フォトで振り返る1999ワールドユース「銀色の進撃」
 
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