【秘話】豪快かつナイーブな点取り屋、川又堅碁をブレイクに導いた"あの時の決断”とは

カテゴリ:Jリーグ

飯尾篤史

2017年04月28日

岡山での経験をもとに、J1でも飛躍を遂げる。

2017年シーズンより磐田に加入。サックスブルーのユニホームを身に纏い、貪欲にゴールを狙い続ける。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 岡山時代にモノにしたメンタルの保ち方が、翌2013年シーズン、新潟での大ブレイクへとつながっていく。

 満を持して戻ったJ1の舞台で、ついに初ゴールが生まれたのは9節、清水エスパルス戦だった。それまでにやや時間はかかったものの、落ち着いて試合に臨むことができていた。
 
「J1で40試合ぐらいかかってやっと取れたゴールだったから嬉しかったですけど、その後も、いつもどおりの感覚でサッカーをしていたので、なんで取れるようになったのか、何が凄かったのか、自分でもよく分からなかったですね」
 
 特別なことは、何ひとつしていない。普段どおりの心持ちで臨めたからこそ、ゴール量産へとつながった。
 
 川又がこの年に積み上げたゴール数は、カテゴリーが上がったにもかかわらず、前年を大きく上回る23だった。
 
「でも、得点ランキングは2位だったからね。2位では誰の記憶にも残らない。やっぱり1位じゃないと意味がない。それは強く思いましたね」

 2014年夏に移籍した名古屋グランパスでは、2年半でリーグ戦18ゴールにとどまり、思い描いたキャリアを送れたわけではなかった。
 
 だが、それで川又が考えすぎることも、歩みを止めるようなことも、ない。
 
 ブレイクは、大きな壁にぶつかり、それを乗り越えることでもたらされるものだと、身をもって経験しているからだ。
 
「一生、点を取り続けられる選手なんて、スアレスとかメッシとかひと握りの選手だけですからね。点が取れていない間もずっとトレーニングをしていましたから。名古屋では身体づくりを含め、学ぶことが多かった。新潟時代よりもウエイトがはるかに増えた。ひと回り大きくなった自分がゴールを量産することで、成長した姿を見てもらいたいと思う」 

 ジュビロ磐田へは名波浩監督に直々に口説かれて、加入を決めた。指揮官はもちろん、中村俊輔の、チームメイトの、ファン・サポーターの期待は痛いほど感じている。
 
「結果を残さないといけないっていう硬さが1、2試合目に出てしまったけど、(ゴールを決めた)3試合目は肩の力を抜いてプレーできましたね。こうやれば、取れるんじゃないかっていうのは分かっている。あとは気持ちを上手くコントロールするだけですから」
 
 そう言って、成熟したストライカーは、不敵な笑みを浮かべた。

取材・文:飯尾篤史(スポーツライター)
【関連記事】
【磐田】名波監督が初ゴールのふたりに言及。「俊輔のFKは入りそうな雰囲気があった。川又は…」
【磐田】「俺が決めるか決めないか」。ジュビロの命運は川又の出来次第!?
【名選手・誕生秘話】「年俸240万円」から日本代表へ。太田宏介を導いた指揮官と元代表戦士との出会いとは?
【名選手・誕生秘話】青山敏弘を"救った"ミシャとの出会い。「僕の悔しさを察して…」と明かす恩師とのエピソードとは?
【磐田】開幕から1か月半。中村俊輔が「ギアチェンジ」に例えたジュビロの現在地と課題

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト いざアジア王者へ!
    5月10日発売
    悲願のACL初制覇へ
    横浜F・マリノス
    充実企画で
    強さの秘密を徹底解剖
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ