• トップ
  • ニュース一覧
  • 【清水】虚勢を張っていた”人間ブルドーザー”。鄭大世がスランプのなかで気づいた本当に大切なものとは?

【清水】虚勢を張っていた”人間ブルドーザー”。鄭大世がスランプのなかで気づいた本当に大切なものとは?

カテゴリ:Jリーグ

飯尾篤史

2017年01月26日

訪れた転機。欲を捨て、J2得点王へ。

2013年末に結婚して、2014年に子どもが生まれたのが転機だったと語る。欲を一切捨てたことが、2016年シーズンのJ2得点王につながった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 そんな大世に、転機が訪れた。
 
「2013年末に結婚して、2014年に子どもが生まれたんです。それですべてを変えようと思って。欲深い自分は、子どもが大人になった時、恥じるべき自分だと思って、欲を一切捨てたんです」
 
 強引にシュートを打たなくなった大世は面白い現象を目の当たりにする。FWの自分が積極的にゴールを狙わないのに、チームの得点数が増加したのだ。
 
 大世が守備をして、周りにパスを出すようになったことでチームが機能し、それが結果としてチームメイトのゴールを増やしただけでなく、大世自身にも決定機が巡ってくるようになったのだ。
 
「ケルン時代に言われたのは、こういうことだったのか、ってようやく気づきましたよ。自分が活躍したいからって好き勝手にやるのは間違っていた。今は得点しても、凄いなんてこれっぽっちも思わないですから」

 2015年7月、大世は清水エスパルスに加入し、5年ぶりにJリーグに復帰した。
 
 オレンジのユニホームをまとった大世に、「人間ブルドーザー」と呼ばれた川崎時代の面影はない。
 
 欲深さを捨て去ったからだ。
 
 この時は、歯車の狂ったチームを救えずJ2に降格したが、小林伸二監督を迎えた2016年シーズン、大世は26ゴールを奪ってJ2得点王に輝き、1年でのJ1復帰に大きく貢献した。
 
 圧巻だったのは、シーズン終盤である。7試合連続ゴールを記録し、10月、11月と2か月連続でJ2の月間MVPに選出されたのだ。
 
「昇格の懸かったシーズン終盤はプレッシャーが半端じゃないわけですよ。その中で結果を出せたのは大きい。弱点を克服できたっていうことです」
 
 達観したように、大世は語る。
 
「刹那的に生きるのは、もうやめました。点を取るために強引にシュートを打つのではなく、チームのために守備を頑張ることで、結果として自分にボールが回ってくる。つまり、遠回りすることが実は一番の近道で、っていう話です」
 
 大世が手にしたゴールの秘訣は、そのまま彼のサッカー人生を表わしている。2011年から始まるスランプを経験したことで今、理想のストライカー像に近づいてきた。遠回りをしたようでいて、それが実は近道だったのかもしれない。

取材・文:飯尾篤史(スポーツライター)
【関連記事】
【清水】J1昇格&得点王獲得に鄭大世が歓喜の涙。「この1年はほんとにきつかった」
【J2】清水が8連勝で自動昇格圏の2位浮上! 鄭大世は7戦連発でJ2タイ記録
好調清水の原動力!鄭大世が10月のJ2月間MVPに輝く
【清水】「ゴールへの欲は捨てた」鄭大世は、低迷するチームに落ち着きをもたらせるか

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ