「Bリーグ」から「Jリーグ」が学べること。“スター不在”の状況で人の心を掴むには?

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年09月29日

Bリーグは「スター不在が課題」という意見。しかし、そんなこと言われなくても分かっている。だからエンターテイメント性で勝負するんだ――という気概が伝わってきた。

話題になることが増えた93年のJリーグ開幕時。年間優勝したV川崎には三浦知良(左)、そして鹿島にはジーコ、名古屋にはリネカーなど、スター選手が数多くいた。(C)Getty Images

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 一方で、その入場シーンを「惰性でやっているな」と感じるところも少なくない。とりあえずJリーグのアンセムを流しておけば“間違いではないだろう”という無難な選択をしているクラブだ。アンセムも格好良いのだが、クラブの個性が感じられなかったりもする。
 
 Bリーグ発足前のbjリーグはそういったセレモニーから盛り上げることに努め、最多4度の王者に輝いた琉球ゴールデンキングスの演出は高い評価を受ける。そして、多くのファン(ブースター)を獲得してきた。
 
 もちろん、なによりも優先されるのは、選手個々がレベルを上げることなのは、言うまでもない。それに屋外なだけに、コンサート会場にも代替される体育館のような演出効果を狙うのは、難しいと言える。ただ、Bリーグが狙う、試合前からスタンドとコート(ピッチ)を一体化させて、心を掴んでしまおうという“仕掛け”は、Jリーグクラブも見習えるべきところがあると感じた。

 しかも、Bリーグが取り込もうとしているターゲット層は、Jリーグが思うように獲得できずにいる、20代を中心とした若い世代である。
 
 開幕戦後、琉球のキャプテンを務める岸本隆一は言った。
 
「日本のバスケットボールが、別次元のステージに上がった」
 
 それは、どのあたりで感じたことなのか? そう問われた岸本は少し考えてから一言に集約した。
 
「雰囲気ですね。僕らもこれまでたくさんの応援を受けてやってきたが、『見られている』ということでの不安を初めて抱いたほどだった」
 
 Bリーグは「スター選手の不在が集客のための課題だ」という意見がよく聞かれる。開幕戦を見る限り、そんなことは言われる前から分かっていること。だからこそ、Bリーグはエンターテイメント性で勝負するんだ――と、まず舞台を整え、選手もチームも成長していこうという気概が伝わってきた。
 
「スター不在」はJリーグにも言える。日本代表やワールドカップに出場した選手は確かに大きな注目を集めるので、Bリーグとはまた似て非なる状況と言える。それでもJリーグから有望な若手がヨーロッパへ挑戦していく構図は今後も続く。また、「地域密着」の理念を掲げているからこそ、全国的なスターが誕生しにくいのはJとBの共通点(世界的な?)に挙げられるだろう。
 
 
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