中村敬斗は、中村敬斗の才能を信じた
再び戻ってきた1部リーグの舞台。2度目のターニングポイントは、21年の11月だ。
「その試合も賭けていましたね。ラストチャンスとは思っていなかったけど、このチャンスをモノにできないと、また出場機会は減るだろうな……と。緊張感もあったけど、周りの選手が声をかけてくれた。積極的にパスも出してくれた。サポートに感謝ですね」
21年11月4日、ヨーロッパカンファレンスリーグのアラシュケルト(アルメニア)戦。チーム内で新型コロナが蔓延し、それまでベンチやベンチ外が続いていた中村は、同カップ戦で初スタメンのチャンスを得た。
12分にLASK加入後初得点を決めると、試合終了間際にも追加点。ヴィーラント監督から高く評価されると、続くリーグのティロル戦でも1ゴールを挙げた。
「その2試合で仲間や監督の信頼を得ることができた。あの試合は大きかったですね」
ウインターブレイク明け後は5ゴール・1アシストを挙げ、シーズン終盤はレギュラーに定着。オフにはブンデス昇格を狙えるドイツ2部クラブから正式オファーが届いた。LASKでの継続を優先させて断ったが、そのオファーは中村が再び欧州で認められてきた証しでもあるだろう。
「その試合も賭けていましたね。ラストチャンスとは思っていなかったけど、このチャンスをモノにできないと、また出場機会は減るだろうな……と。緊張感もあったけど、周りの選手が声をかけてくれた。積極的にパスも出してくれた。サポートに感謝ですね」
21年11月4日、ヨーロッパカンファレンスリーグのアラシュケルト(アルメニア)戦。チーム内で新型コロナが蔓延し、それまでベンチやベンチ外が続いていた中村は、同カップ戦で初スタメンのチャンスを得た。
12分にLASK加入後初得点を決めると、試合終了間際にも追加点。ヴィーラント監督から高く評価されると、続くリーグのティロル戦でも1ゴールを挙げた。
「その2試合で仲間や監督の信頼を得ることができた。あの試合は大きかったですね」
ウインターブレイク明け後は5ゴール・1アシストを挙げ、シーズン終盤はレギュラーに定着。オフにはブンデス昇格を狙えるドイツ2部クラブから正式オファーが届いた。LASKでの継続を優先させて断ったが、そのオファーは中村が再び欧州で認められてきた証しでもあるだろう。
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プロフェッショナルの世界にいれば、誰しもが成功と失敗の両面を抱える。周囲が失敗と見なしても、本人にとっては成功への近道になることもある。未来は見えなくても、心の内に大きな幹があれば、開けてくる道筋もある。中村を支えていたものとは――。
「信念ですね。欧州でまったく通用しないわけではない。自分の力を信じつつ、頭で考えて、次のステップに行くためにどうすべきかを考えてきた。だから高い場所ばかりを見るのではなく、足もとを見つめてコツコツとやる」
周囲がどう言おうが、どう見ようが、中村敬斗は、中村敬斗の才能を信じた。今、成功か失敗かの物差しで測るのは意味がない。彼は新シーズンもオーストリアで立ち続ける。今まで以上に陽の当たる場所に戻るために。
取材・文●飯間健(スポーツニッポン新聞社)
プロフェッショナルの世界にいれば、誰しもが成功と失敗の両面を抱える。周囲が失敗と見なしても、本人にとっては成功への近道になることもある。未来は見えなくても、心の内に大きな幹があれば、開けてくる道筋もある。中村を支えていたものとは――。
「信念ですね。欧州でまったく通用しないわけではない。自分の力を信じつつ、頭で考えて、次のステップに行くためにどうすべきかを考えてきた。だから高い場所ばかりを見るのではなく、足もとを見つめてコツコツとやる」
周囲がどう言おうが、どう見ようが、中村敬斗は、中村敬斗の才能を信じた。今、成功か失敗かの物差しで測るのは意味がない。彼は新シーズンもオーストリアで立ち続ける。今まで以上に陽の当たる場所に戻るために。
取材・文●飯間健(スポーツニッポン新聞社)