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「小さくてもできる、を示したい」強豪・履正社のゴールを守る“163センチGK”が語る「僕の生きる道」

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2022年08月13日

「『大学でも続けたい、上を目ざしたい』という気持ちがどんどん強くなった」

「僕が常に大事にしているのは、『見て、考えて、行動する』という3つの柱です。それはピッチ内でもピッチ外でも一緒で、頭の回転を速くして、反応を速くすればどんな相手でも通用するし、チーム全体のプラスになる行動ができる。これが僕が履正社で教えてもらったことであり、大切にしていることです」

 しっかりとした受け答えから、引き締まった表情でこう語ってくれた湯地。彼は高校卒業後も本格的にサッカーを続ける意思を固めている。進学先は関西大学リーグ1部のチームだ。

「プレミアWESTが始まってすぐに声をかけてくださったんです。でも正直そのときは大学ではサッカーをやらないと決めていました。理由はさすがにこの身長でプロになることは厳しいだろうと思ったので、大学では続けずに、高校で全てを出し切ろうと思ったのです。でもオーバートレーニング症候群になってしまい、復帰までの1か月間で自分を見つめ直したときに、声をかけてくださっていることにすごく感謝の気持ちを持ちましたし、純粋に自分のなかで『大学でも続けたい、上を目ざしたい』という気持ちがどんどん強くなっていったんです。

 諦めることは簡単だけど、ここまでやったのなら上を目ざしたいと純粋に思ったし、それに加えて僕が大学サッカーでも活躍することで、身体が小さいGKにより勇気を与えられるようにしたい。夢を持ってもらえるきっかけになりたいと思ったんです」
 
 高校選びでは全て自分から売り込んだが、大学進学時には逆に声をかけてもらった。この事実こそが、彼が高校3年間で積み上げた大きな成果であり、財産であった。進学先の大学関係者に言われた言葉もまた、今の彼の心に深く刻まれている。

「小さくても技術と声でしっかりと守っている。信頼できるGKだよ」

 小さくてもGKとしてハイレベルな環境で戦える。苦しみながらも挑戦し続けてきたことがいま、形となって証明されている。まずはレギュラーを奪い返してプレミアWESTで経験を重ね、冬の高校選手権という大舞台でさらなる証明をするために、湯地はこれからも普段の努力で自分にしかできない発信を続けていく。

 その先にある大学サッカーの世界に向けても、きっと――。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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