新進気鋭の監督が進めるチーム作りが画期的。埼玉県リーグで戦う文教大の活動が濃密だ

カテゴリ:大学

サッカーダイジェスト編集部

2021年08月30日

「学生主体」の原点になったのは…

藤原監督も現役時代、「学生主体」でチームが活発になっていた。

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 実は「学生主体」のチーム体制を発案した藤原監督も現役時代、文教大サッカー部で最高の経験をしていた。

「埼玉県リーグ1部で1年生の時が2位、2年生の時が2位、3年生の時が優勝。他の大学はプロ契約の監督がいるなかで、僕らは指導者不在で正真正銘“学生だけで”結果を残しました。チームに与えられた予算も少ないし、コーチもいないなかで、いかにして学生だけで勝つかを本気で考えた」

 なぜ学生だけでチームが機能したのか、藤原監督は述懐する。

「まず、主将の岩田健吾が強烈なリーダーシップを発揮していたのが要因のひとつ。加えて、学生があらゆる決定権を持たざるを得ないから各選手に責任が生まれ、当時はみんながその責任を果たしていました。今のように各選手に役職が与えられていたわけではないけど、全選手が気を配りながら、適材適所でチームに貢献していた」
 

藤原監督の現役時代に主将を務めていた岩田氏。強烈なリーダーシップを発揮していた。

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 高校時代、定位置のスタンドで心が荒んでいた筆者は「そんな綺麗ごとを……」と少し思ったが、続く藤原監督の言葉で腑に落ちた。

「僕が1年生時に見た先輩たちの姿が『学生主体』の原点。試合に出られない選手はチームのために惜しまず働き、主将を含めた三役は陰の立役者を全員の前で賞賛し、光を当てる文化があった。だから例えば、雨が降れば水たまりができる土の練習場を上級生が当たり前のように率先して水抜きしていましたね。私たちより早く来て取り組む姿勢を初めて見た時は大変驚きました。サッカーの実力だけで傲慢に振舞うプレーヤーは誰ひとりいなかった」

 根付いた文化はそう簡単には消えない。現主将の芦澤はメンバー選考の基準をこう述べていた。

「サッカーの実力はもちろん大事ですけど、僕らは周りから『愛されるチームになる』ことをビジョンに掲げています。だからピッチ外での行動も注視したうえで、他の選手から応援されるような人間性も選考基準のひとつにしているんです。サッカーと人間性、5対5の割合で判断していますね」

 プレーの評価だけにとどまらない文教大サッカー部の文化は、しっかりと後世に受け継がれていた。
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