「将来は監督になりたい。日本のサッカーは今後さらにレベルアップする」
――マリンガFCの一員となりましたが、久しぶりに触れたブラジルサッカーの印象はいかがですか?
「相変わらず速くて、上手くて創造性に満ちた選手が大勢いる。去年のワールドカップでは残念な結果(4位)に終わったけど、これからまた盛り返そうという意欲を感じるね」
――37歳の“助っ人”としてプレーする気分は?
「ブラジルでは年齢も国籍もまったく関係ない。あくまでも実力勝負なので、自分もそのつもりで練習からベストを尽くしているよ」
――あと何年くらい、現役を続けようと考えていますか?
「自分がまだやれると思う間は、プレーしたい。現時点でそれがあと何年になるかは分からないけど、まだまだやれるよ」
――引退後のプランはある?
「監督になりたい。一昨年に日本でC級、昨年にB級のライセンスを取ったんだ。ブラジルでも監督になるための講座を履修するつもりだよ」
――ブラジル、日本、欧州でプレーした三都主選手から見て、現在の日本サッカーはどう映りますか?
「僕が日本にいた間、レベルがどんどん上がっていった。Jリーグの運営は素晴らしいし、選手育成のシステムも根付きつつある。今後さらにレベルアップすると確信している」
――ただ、なかには日本の選手はアグレッシブさが足りず、創造性に乏しいという厳しい見方もあります。
「素晴らしいテクニックがあるのに、それを試合で上手く使えていないんだ。高校やクラブの下部組織での教え方に少し問題があるのかもしれない。日本では、指導者が懇切丁寧に教えるけど、それは良い面と悪い面があると思う。ブラジルでは、監督が大まかな方針を示すだけで、その具体的な方法は選手に任せる。そして、選手は自由な発想で、大胆にプレーをする。でも、日本では指導者がなにからなにまで指示することが多く、それが選手の自主性や創造性を妨げている部分があるんじゃないかな。自分が指導者になったら、日本人の良いところを最大限に活かしながら、足りない部分を補っていきたい」
――◆――◆――
父ウィルソンさんは中堅クラブで18年間プレーした元プロ選手。ペレ、トスタンらスーパースターと対戦した経歴を持ち、68歳となった今でも嬉々として子どもたちにサッカーを教えている。母マリアさんは、「アレックスのサッカー好きは父親譲り。生涯、ボールから離れることはないでしょう」と断言する。
また、妻の直美さんは、「知り合った頃は完全にブラジル人でしたが、結婚以来、性格も習慣もどんどん日本的になっています。日本のことは決して忘れていませんよ」と付け加える。
彼がブラジルへ戻ったのは、あくまでも“一時帰国”と考えていいだろう。他の日本人選手とは異なるバックグラウンドと多彩な経験を存分に活かし、将来、指導者として日本サッカーのさらなる発展に貢献してくれることを期待したい。
取材・文・インタビュー写真:沢田啓明(サッカーライター)
※『サッカーダイジェスト』2015年4月9日号より転載。
「相変わらず速くて、上手くて創造性に満ちた選手が大勢いる。去年のワールドカップでは残念な結果(4位)に終わったけど、これからまた盛り返そうという意欲を感じるね」
――37歳の“助っ人”としてプレーする気分は?
「ブラジルでは年齢も国籍もまったく関係ない。あくまでも実力勝負なので、自分もそのつもりで練習からベストを尽くしているよ」
――あと何年くらい、現役を続けようと考えていますか?
「自分がまだやれると思う間は、プレーしたい。現時点でそれがあと何年になるかは分からないけど、まだまだやれるよ」
――引退後のプランはある?
「監督になりたい。一昨年に日本でC級、昨年にB級のライセンスを取ったんだ。ブラジルでも監督になるための講座を履修するつもりだよ」
――ブラジル、日本、欧州でプレーした三都主選手から見て、現在の日本サッカーはどう映りますか?
「僕が日本にいた間、レベルがどんどん上がっていった。Jリーグの運営は素晴らしいし、選手育成のシステムも根付きつつある。今後さらにレベルアップすると確信している」
――ただ、なかには日本の選手はアグレッシブさが足りず、創造性に乏しいという厳しい見方もあります。
「素晴らしいテクニックがあるのに、それを試合で上手く使えていないんだ。高校やクラブの下部組織での教え方に少し問題があるのかもしれない。日本では、指導者が懇切丁寧に教えるけど、それは良い面と悪い面があると思う。ブラジルでは、監督が大まかな方針を示すだけで、その具体的な方法は選手に任せる。そして、選手は自由な発想で、大胆にプレーをする。でも、日本では指導者がなにからなにまで指示することが多く、それが選手の自主性や創造性を妨げている部分があるんじゃないかな。自分が指導者になったら、日本人の良いところを最大限に活かしながら、足りない部分を補っていきたい」
――◆――◆――
父ウィルソンさんは中堅クラブで18年間プレーした元プロ選手。ペレ、トスタンらスーパースターと対戦した経歴を持ち、68歳となった今でも嬉々として子どもたちにサッカーを教えている。母マリアさんは、「アレックスのサッカー好きは父親譲り。生涯、ボールから離れることはないでしょう」と断言する。
また、妻の直美さんは、「知り合った頃は完全にブラジル人でしたが、結婚以来、性格も習慣もどんどん日本的になっています。日本のことは決して忘れていませんよ」と付け加える。
彼がブラジルへ戻ったのは、あくまでも“一時帰国”と考えていいだろう。他の日本人選手とは異なるバックグラウンドと多彩な経験を存分に活かし、将来、指導者として日本サッカーのさらなる発展に貢献してくれることを期待したい。
取材・文・インタビュー写真:沢田啓明(サッカーライター)
※『サッカーダイジェスト』2015年4月9日号より転載。