三都主アレサンドロが語る、日本での20年、故郷でのリスタート、将来の夢

カテゴリ:Jリーグ

沢田啓明

2015年05月08日

「キャリアを積む過程で日本が好きになり、日本人になりたいと思った」

日本での思い出やキャリアについて語ってくれた三都主。プロ選手としてキャリアを積む過程で日本が好きになっていったという。

画像を見る

――清水に加入した当時、Jリーグのレベルはどう映りましたか?
 
「みんな上手くて、強くて、判断が速く、高校とはすべてが違っていた。でも、自分がやっていけないとは思わなかったな。自分の特長であるドリブルやクロスはある程度通用していたから、スタミナなど足りない部分を補えば大丈夫だと思った」
 
――3年目の1999年に大ブレイクできた要因はなんですか?
 
「1年目、2年目と段階を踏んで成長できていたからね。しっかり練習して、綿密に体調を管理していたのが実を結んだんだと思う」
 
――その後、来日7年目の2001年3月、日本への帰化を申請します。
 
「日本の高校を卒業し、プロ選手としてキャリアを積む過程で日本が大好きになり、もっと長く居たい、ひいては日本人になりたいと思ったんだ。もちろん、日本代表の一員として日韓ワールドカップに出場したいという気持ちもあった。日本人になったとしても、日本代表に入れる保証などまったくなかったけどね」
 
――日韓ワールドカップでは、決勝トーナメントのトルコ戦で先発。前半終了間際に蹴ったFKがバーを直撃しましたが、あれはカーブのかかりが少し足りなかったのですか?
 
「蹴った瞬間、『入った!』と思った。雨が降っていたけど、その影響もなかったし、どうして入らなかったのか今でも上手く説明できない」
 
――その後、浦和へと移籍しますね。
 
「関東のビッグクラブでプレーすることで、自分がさらにレベルアップできると考えたんだ。実際に、いくつものタイトル(05年に天皇杯、06年にリーグ戦と天皇杯)を獲得できて、とても充実していたよ」
 
――06年のドイツ・ワールドカップではジーコ監督の下でレギュラーとして起用され、グループリーグのブラジル戦では玉田(圭司)選手の先制ゴールにつながるアシストを決めました。
 
「ジーコは子どもの頃からのアイドル。憧れの人が監督を務めるチームでワールドカップに出場し、しかもブラジルと対戦するなんて……。セレソンを倒すつもりで、死に物狂いでプレーしたし、玉田のシュートが決まった瞬間は鳥肌が立ったよ」
 
――07年にオーストリアのザルツブルクへ期限付き移籍した経緯は?
 
「いつか欧州でプレーしたいと思っていた。01年にオリンピアコス(ギリシャ)から好条件を提示された時は、ちょうど日本への帰化申請中でね。日本を離れると帰化のための条件を満たせなくなるので、やむなく断ったんだ。ワールドカップ後には今度はチャールトン(イングランド)からオファーを受けてクラブ間では合意していたんだけど、労働許可証が下りなかった。ザルツブルクからの誘いは“三度目の正直”で、『今度こそ行きたい!』と浦和のフロントに願い出たってわけさ」
 
――念願だった欧州の印象は?
 
「欧州の選手のパワー、そしてフィジカルコンタクトの激しさに正直驚いたよ。でも、自分のスピードとテクニックは通用すると思った」
 
――浦和に復帰後は、名古屋、栃木、岐阜と3クラブを渡り歩きます。
 
「浦和で出場機会が少なくなっていたし、ストイコビッチ監督から誘ってもらったからね。故障が多かったけど、10年に名古屋のJリーグ初制覇に少しでも貢献できたのが嬉しかったよ。昨年は岐阜が契約を更改してくれたら、もう1年プレーするつもりだった。でも、契約満了を言い渡されて……。もちろん日本で別のクラブを探す選択肢もあったけど、両親が住むマリンガでプレーしたいと思ったんだ」
 
――日本でやり残したことは?
 
「できることはすべてやり切った。悔いはないよ」
【関連記事】
【ヒューマンストーリー】カレン・ロバートという生き方
【札幌】「ボロボロになるまでサッカーがしたい!」と決意を固めた稲本が初のJ2に挑む
【SD独占インタビュー】内田篤人――もう一段、上のステージへ
【インタビュー】スティーブン・ジェラード 「決断の理由」
【韓国が見た日本】熊本の女子高生を救助した元Jリーガー、キム・ソンジュンの紆余曲折
【浦和】悲劇の死を遂げた元チームメイトに捧げる、ズラタンの決勝ゴール
サポーターから愛されたふたりのGKが大宮で邂逅 加藤順大と塩田仁史、それぞれのストーリー

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ