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旧知の敵国記者が明かすマラドーナの知られざる“ブラジル愛”。セレソンの10番への憧れ、“相棒”カレッカとの友情――【現地発】

カテゴリ:ワールド

リカルド・セティオン

2020年12月16日

ペレの気分を害したマラドーナの「選択」

マラドーナの訃報に際し、ペレ(右)は花を贈ったという。(C) Getty Images

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 ブラジル好きのマラドーナだが、ブラジルのクラブでプレーすることはなかった。ただ一度だけ彼の運命が限りなくブラジル近づいたことがあった。95年、前年のアメリカW杯でのドーピング使用で、彼は15か月の出場停止に処されており、所属チームもなかった。そんな折、ペレが自身の古巣であるサントスでプレーしないかとマラドーナを誘ったのである。

 ペレはこの時ブラジル政府のスポーツ大臣で、オファーはアルゼンチン大統領からマラドーナにもたらされた。ディエゴは非常に感謝し、ほぼ契約寸前まで行ったのだが、最後の最後にボカ・ジュニオルズを選んだ。自分が最も愛するチームでサッカー人生を終えたかったからだ。

 これにはさすがのペレも気分を害したが、それでもその後も彼らの友情は続いた。訃報に際し、ペレはマラドーナに花を贈った。“サッカーの神様”がアルゼンチンの選手にこんな振る舞いをしたのはこれが初めてである。
 
 最後にマラドーナのブラジル好きがよくわかるエピソードをひとつ紹介しよう。みなさんはガラナという飲み物を知っているだろうか。ブラジルの国民的飲料で、我々はこれがなければ生きていけない。味はドクターペッパーなどに近いだろうか。

 少し前にマラドーナがこのガラナのCMに出演した。ブラジルの国歌斉唱をする、ロナウド、カカ、そして次に映るのはマラドーナ? そこでハッとして目を覚ますとそれは夢だった。「なんて夢だ!」となぜかポルトガル語で言い放つ彼のベッドの横には数本のガラナの缶。「昨日、ガラナを飲みすぎたせいだ」と頭を抱えるというものだ。

【動画】マラドーナがセレソンのユニホームを着て…ブラジルの国民的飲料のCMはこちら

 たわいもないものであるが、よくぞアルゼンチンのヒーローがこれを受けたとブラジル人は皆驚いた。セレソンのユニホームを着てブラジル国歌を歌ったアルゼンチン人は、あとにも先にもきっとマラドーナだけだろう。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
 
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