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旧知の敵国記者が明かすマラドーナの知られざる“ブラジル愛”。セレソンの10番への憧れ、“相棒”カレッカとの友情――【現地発】

カテゴリ:ワールド

リカルド・セティオン

2020年12月16日

カレッカは薬とマフィアからマラドーナの命を守った

マラドーナはブラジルの10番を背負ったジーコとも友人関係にあった。(C) Getty Images

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 カレッカはマラドーナの家に勝手に出入りできる唯一の人間だった。そしてマラドーナもまたサポーターやパパラッチから逃れて、カレッカの家によく避難していた。二人は兄弟のように仲が良かった。マラドーナはカレッカに「自分がナポリにいる限りは絶対に移籍しない」とも約束させていた。だからミランから巨額のオファーが来た時も、ブラジル人FWはそれを守るために申し出を断っている。

 これはほとんど知られていない話だが、カレッカが守ったのは約束だけではなかった。彼はマラドーナの命さえも守っている。

「アントニオは何度も俺を救ってくれた」

 詳しいことは言わなかったが、マラドーナ自身もこう語っている。ディエゴは91年にコカイン使用とカモッラ(ナポリの犯罪組織)との関係で警察の捜査を受けるようになったが、もしカレッカがいなかったら彼の破滅はもっと早かったことだろう。この親友はマラドーナの異変にいち早く気がついていて、どうにか彼を庇おうと、救おうとしていた。

「薬で意識不明になったディエゴを何度家に連れて帰ったかわからない。時には危ない連中とも対峙しなければならないこともあった」

 カレッカはそっと私に話してくれた。
 
 ナポリでの終わり方は幸せなものではなかったが、それでも2人の友情は引退後もずっと続いていた。彼はアルゼンチン・メディアがうるさくなると、いつもカンピナスにあるカレッカの家に逃げ込んでいた。

 そうマラドーナはブラジルではいつも笑顔だった。19歳からバカンスはほとんどブラジルで過ごすと決めていて、コパカバーナのビーチでフットバレーをする姿や、カーニバルで楽しそうに踊る様子が何度も目撃されている。彼はいつもとても楽しそうだった。南米にしては生真面目なアルゼンチンより、なんでもありの陽気なブラジルが性に合っていたのだろう。

 しかし、同時に彼はとてもアルゼンチン人らしいアルゼンチン人でもあった。プライドが高く、自分が絶対に一番と信じている。そんなところはまさにかの国の人らしい。
 
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