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昨季J1リーガーも社員に!? ‟リアル“南葛SCが推進する一石三鳥メソッドの運営強化とは――

カテゴリ:特集

伊藤 亮

2020年09月14日

応援してくれていることを見える化する

岩本GMは、個人スポンサーを募る活動を奨励し、収益増加とともに選手のモチベーションアップも図る。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 チーム強化からスタジアム交渉まで、南葛SCに関わるピッチ内外のあらゆる問題に携わる。とてもひとりで対処できる量ではないが、なんとか対処しなければならない。ではどうするか。岩本GMは、一手一手の施策をいかに効果的に実行できるか、そして複数のメリットをもたらせるかを突き詰めているように感じる。

 今シーズンから始めた「個人スポンサー」の取り組みなどは腕の見せ所だ。
「各自のトレーニングウエアに、自分が募ったスポンサーをつけるというものです。企業でも個人でも、いくらでもいいからつけていいと。そして収益はトレーニングウエア代を除いて本人に入る。最初はみんな勝手が分からず手探り状態だったのですが、その中でも、いきなり10社くらいつけた選手や1日で100万円以上集めた選手もいます。一方で、元プロの選手の中には戸惑っている選手もいて。正直「お金に困っているんじゃないか」と思われてしまうのではないかと。そう考える気持ちも分かります。なので、そういう選手にはこれまでお世話になった人の名前を無料で入れればいい、と話しました」

 個人スポンサーを始めた狙いは収益増加もある。だが、それだけではない。
「お世話になった人たちの名前を背負ってプレーする。応援してくれていることを見える化することで、モチベーションアップにつなげてほしいんです」

 お金を出してもらおうとすると二の足を踏む。しかし、応援してくれる企業や人への感謝を込めて名前を入れてもらおうと発想を転換すれば、働きかけるハードルは下がる。そして、これがじつは大事なビジネススキルを獲得する第一歩になっていたりする。

「今後は分かりませんが、現時点では南葛SCでプレーした後にJリーグへ行ってサッカーだけの生活をする選手はほとんどいないでしょう。であれば南葛SCでサッカーをしつつ、社会人としてステップアップできる素養を働きながら身につけてもらいたいな、と。サッカーは教えられませんが、ビジネスや生き方の部分は教えられるので」

 収益増加と、選手自身のモチベーションアップと、セカンドキャリアを見据えたビジネススキルの習得。個人スポンサー集めを行う裏には、実に3つのメリットがあった。まさに一石三鳥だ。

「選手たちにはこの3つのメリットを自身で感じ取ってもらいたかった部分はあります。でも、結局はやっぱり丁寧な説明が必要でしたね。ただ、理解して動き出すと興味が沸いていろいろ聞いてくれるようになる。そういう人が増えると、みんなやり出す。続けていけばもっと変わってくると思います」

 対外に関しては、「Jリーグ百年構想」の承認や大胆な戦力補強で派手な話題を振りまいてきた南葛SC。一方、対内に関しては身の丈に合ったクラブ経営を、建設的かつユニークな施策で堅実に行なっている。壮大な夢に向かいつつ、地に足をつけることを忘れない。岩本GMの話から見えてきたのは、一見相反する目標を見事に両立させているクラブの姿だった。(文中敬称略)

※このシリーズ了

取材・文●伊藤 亮
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