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「こんな無責任な話があるか」試合直前に“10人陽性”の相手を名門サンパウロが猛烈批判!ブラジル全国選手権はカオス状態【現地発】

カテゴリ:ワールド

リカルド・セティオン

2020年08月13日

両会長も舌戦を開始

 諍いは選手間に留まらず、チーム間でも舌戦が繰り広げられた。ゴイアスの会長マルセロ・アウメイダはかなり強い口調でサンパウロを責めた。

「サンパウロの態度はとても冷淡だ。状況を説明し、試合の中止が決まったことをサンパウロ側に告げると、まるで我々の言うことが信じられないとでもいうように一言『CBFの正式報告を待つ』と言われた」

 一方、サンパウロの会長はこう公に表明した。

「安全なプレーができる配慮は全くされていなかった。その結果我々は戦わずして、また戻って来た。どのチームにもサンパウロと同じようなプロとしての意識を持って現状に対処してもらいたい」

 また彼はこう言って非難の的となった。

「ゴイアスはピッチに入らなかったのだから、本来ならサンパウロの不戦勝になるべき試合だった」
 
 サンパウロはゴイアスを責めたものの、彼らの口からは一言も、陽性だった選手たちへの回復を祈る言葉は聞かれていない。このことにもブーイングが浴びせられている。

 他の試合では陽性者が出なかったからよかったものの、やはり検査結果は同じように試合の数時間前になってやっと届いている。

 10日になってCBFはやっと公式の声明を出し、セリエAからDにいたるまでの検査を見直すことにした。少なくとも24時間前に結果が出るよう厳格化し、今までCBFが一括していた検査は、各チームが独自に依頼し、その費用を連盟が持つということになった。

 この試合の解説をするはずだった元ブラジル代表で、今は名物コメンテーターとなっているカーザグランジはこう言っていた。

「目の前で選手たちが自分の命を危険にさらしてプレーしているかと思うと、試合の解説なんてしたくなくなるね。今は細心の注意をしなければいけないのに、検査の結果が直前にしかわからないなんて、とんでもない。恥を知れ!」

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。
8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
 
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