【安永聡太郎】ソシエダの躍進を支える“2人の逸材”は何が凄いのか?

カテゴリ:連載・コラム

木之下潤

2020年05月19日

味方が作った時間をロスなく次の選手に渡せるメリーノ

ペップのバルサのように緻密な戦術でボールを支配するソシエダ。メリーノはその中心を担っている。(C)Getty Images

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 ソシエダの後方からの丁寧な「サリーダ・デ・バロン」の中枢を担っていた一人が、「メリーノ」でした。

 ソシエダはGKまでボールが下がった時、2CBがポジションを下げてワイドに開くことが徹底されています。その時、両CBは進行方向に身体が向けられる立ち位置を取るのですが、その様子をさらにSBが読み取り、ピッチ幅を使って正しく広がります。

 その中で、相手の守備のファーストラインやセカンドラインがどこに設定されているかを観察しながら中盤の3枚も巧みに立ち位置を取り、相手陣内に侵入するためのプレーを実践します。

 そのやり方が2010-2011シーズンのバルサに似ているんですよね。

 ポジショナルな立ち位置を取るんですが、2CBの間に1ボランチが下りるか否かは相手の守備の構築次第です。でも、後ろが3枚になったときにはメリーノが適切に下りてきてダイヤモンドの底に入り、ゲームをうまく組み立てます。システムでいえば「3-1-4-2」に変化するわけですが、彼を含めて中盤の3枚は前半だけで平均で6kmを超える走行距離があり、チーム状況によって頻繁に立ち位置を変えられる賢さを持ち合わせているんです。

 その中でメリーノはウーデゴーやオジャルサバルらが仕掛けるやや後方で必ず適切な立ち位置を取り、彼らが手詰まりになった場合に高い確率でボールを引き上げて相手の目線を変えるように逆サイドに展開したり、斜めのパスを入れたりして、相手を揺さぶるような効果的な仕掛けを行ないます。

 そういうクレバーなプレーで味方に考える時間と立ち位置を修正する時間を与え、ゲームを作り直すキッカケを作ったり、攻撃にアクセントをもたらしたりできるチームに欠かせない選手の一人です。

 メリーノが見せるチーム全体の攻撃の指針となるようなボールの扱い方は、相手のライン間を突破するウーデゴーのドリブルとはまた違ったフットボーラーとしての資質の高さだと感心しました。

 近い将来、強豪クラブに引き抜かれてもおかしくない逸材だと思います。

分析●安永聡太郎
取材・文●木之下潤

【分析者プロフィール】
安永聡太郎(やすながそうたろう)
1976年生まれ。山口県出身。清水商業高校(現静岡市立清水桜が丘高校)で全国高校サッカー選手権大会など6度の日本一を経験し、FIFAワールドユース(現U-20W杯)にも出場。高校卒業後、横浜マリノス(現横浜F・マリノス)に加入し、1年目から主力として活躍して優勝に貢献。スペインのレリダ、清水エスパルス、横浜F・マリノス、スペインのラシン・デ・フェロール、横浜F・マリノス、柏レイソルでプレーする。2016年シーズン途中からJ3のSC相模原の監督に就任。現在はサッカー解説者として様々なメディアで活躍中。
 
 

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