豪州戦後、喜びよりも「あぶねぇ」を連発。「俺、来年ここ(代表)にいられるかどうか分からないからね」
引き分け以上でブラジル・ワールドカップ出場が決まるホームでのオーストラリア戦(2013年6月11日)も今ちゃんは、スタメンだった。本田が91分にPKを決め、なんとか追いついて5大会連続でのワールドカップを決めた。試合後は喜びよりも「あぶねぇ」を連発し、「でも、俺、来年ここ(代表)にいられるかどうか分からないからね」と、危機感を露わにしていた。ザックさんが固定したメンバーを見て、スーパーな選手の登場や怪我でもない限り、このままいくだろうと誰もが思っていたのに今ちゃんだけは、イバラの1年を見ていたようだった。
前だけを見て、世界で勝つことを目指す本田や香川らがいる中、今ちゃんのように少し怖がるぐらいに慎重に歩みを進める選手がいたことで、ザックさんのチームはバランスが取れていたように思える。チームがイケイケになり、右サイドバックが上がり、左サイドバックも上がっていることが多々あったが、「そういうなぁなぁの部分を機械のように消していこうよ」とバシッと言えるのも、今ちゃんだった。
前だけを見て、世界で勝つことを目指す本田や香川らがいる中、今ちゃんのように少し怖がるぐらいに慎重に歩みを進める選手がいたことで、ザックさんのチームはバランスが取れていたように思える。チームがイケイケになり、右サイドバックが上がり、左サイドバックも上がっていることが多々あったが、「そういうなぁなぁの部分を機械のように消していこうよ」とバシッと言えるのも、今ちゃんだった。
ワールドカップ出場が決まっても「悩める今ちゃん」は続いた。だが、それはある意味、今ちゃんの精神安定の一助にもなっていたと思う。
オーストラリア戦の時に漏らした危機感は1年後、もちろん杞憂に終わった。
取材・文●佐藤 俊(スポーツライター)