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ザックJAPANの「悩める今ちゃん」 ブラジル行きを決めた豪州戦後も…【W杯アジア予選を突破した日】

カテゴリ:連載・コラム

佐藤俊

2020年05月09日

「自分がレギュラーで安泰だなんて思ったら終わり。隙を見せたらアッという間に替わられる」

W杯出場を決めたオーストラリア戦。今野はセンターバックとしてスタメン出場している。(C) Getty Images

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 ザックさんは、今ちゃんを信頼して起用しつづけた。
 だが、今ちゃんの心はいつも危機感でいっぱいだった。

 このチームは「世界で勝つ」というのが目標になっていた。

 今ちゃんは、その意識を持ち、より高みを目指してプレーする本田や香川真司らを尊敬していた。記者会見で本田ら海外のビッグクラブでプレーしている選手と一緒にプレーすることを「憧れ」と言ったほどだ。その場で本田に「今野選手みたいに憧れを持っていわれては困る」と返されたが、あとで「彼らの要求に応えられるように、憧れは、そのレベルに自分がいくということ」と「憧れ」という言葉の奥にある本音を教えてくれた。

 海外サッカーが好きな今ちゃんは、世界を見れば自分よりもはるかに大きくて強いFWを相手にしなければならないことを理解していた。それだけに能力のレベルアップに余念がなかった。身体を強くし、センターバックの動き方を学び、ラインコントロールを吉田麻也らと調整し、隙を見せないようにプレーした。2012年に親善試合でフランスに1-0で勝った時も「勝っただけでしょ。内容をもっと良くしないと世界じゃ勝てない」と厳しかった。最終予選で勝った時も今ちゃんは、「勝って満足していたら俺は終わりだし、世界にも勝てない」と、常に視線は上を向いていた。

 意識は高くなったが態度は謙虚だった。日本代表ではレギュラーだが、そんなことは一切匂わせず、口から洩れてくるのは危機感と反省だった。「もう、すっかりレギュラーだ」というと、今ちゃんは「何言ってんの」という表情で、こういった。

「海外にもJリーグにもいい選手がいっぱいいる。自分がレギュラーで安泰だなんて思ったら終わりですよ。俺は代表にいるチャンスを逃したくないんでしがみついているけど、代表に入れる選手はたくさんいるからね。隙を見せたらアッという間に替わられる」

 もみあげをいじりながら下を向き、顔には「危機感」のマークが浮かび上がる。今どきのキャラでいうなら「鬼滅の刃」の我妻善逸か。いつもは自信なさ気だが、やる時はやるみたいな……。
 
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