突き付けられた広がるヨーロッパ組とJリーグ組の「格差」。残念でならなかった。
また豊田も、なぜいつまでも周囲から信頼されないのか、そこを突き詰めるべきだ。
決して怠らず、しっかり動き直しをしているのは、多くの人が分かっている。そこへパスを出さない周りが悪いという指摘があるのも分かる。
とはいえ、ストライカーであるならば、限られたチャンスを仕留めなければいけない。控えからステップアップするためであれば、なおさらだ。大事な場面でキックミスやシュートミスをして、いつまでも連係に絡めないようでは、高さや強さという良い武器を持っていても、「あいつならボールを任せられる」と信頼はされない。
チャンスは与えられてきた。だが、そういった信頼関係を築けていない。
アギーレはいつかはそこが噛み合うはずだと期待してきたわけだ。それだけに、このチャンスを活かせなかったのは、柴崎のプレー同様に、観ていて歯痒かった。
そして武藤。自らの持ち味を出し切ろうという意欲は伝わってきた。だが、デビュー以来、次の段階へ行けずにいる。フィジカル、運動量、シュート力と、いずれも高いレベルで、もちろんビッグチャンスのどれかひとつを決めていれば、ヒーローだっただろう。
しかしその能力をいかにチームに落とし込み、周りの選手を昇華させ、そしてレギュラーを奪うのか。そのステップを踏み込めず、自分の感性だけで勝負していたようにしか見えない。
その点に気付いて改善してきた乾と異なり、武藤は周囲との関係性を築けずにいる気がする。FWに求められる試合を読む力が養われていない。
最後は、本田と香川がPKを外して、日本の戦いは幕を閉じた。
このふたりもかなり批判を受けるに違いない。
Wエースの失敗は、なにかしらの暗示だと言う人もいるかもしれない。しかし、ワシが今大会最も痛感したのは、むしろ逆だ。
ヨーロッパ組とJリーグ組の格差が広がっている――。
「ヨーロッパ組だから」と言うだけで評価するのは好きではない。むしろ、Jリーグ組だってやれるんだぞ、とずっと思ってきたひとりである。
それでも今大会、適応力、プレーの安定感、試合を読む力、そして純粋なテクニック……前線の選手に関して言えば、すべての面でヨーロッパ組はJリーグ組を上回っていたと言わざるを得ない。
ちょうどJリーグがオフ期間だとはいえ、レギュラー争いに挑む立場なのだから、正直、もっと目の色を変えて、主役の座を狙ってほしかった。
このギャップをいかに埋めるかが、ロシア・ワールドカップへの課題になるだろう。
海を渡って行った南野、柿谷、原口、大迫らは、さらにもがきながら、個性と対応力を磨いていけばいいのではないか。また、今回試合には出られなかったが素質は十分な西川、昌子、植田……彼らも可能性は十分秘めている。
ただし、この結果を受けて、「これまで通りではいけない」という相当に高い意識を持って、Jリーグの開幕に向かわなければいけない。
2015年のアジアカップ。ワシはJリーグの危機を感じた。
解説:金田喜稔(元日本代表)
決して怠らず、しっかり動き直しをしているのは、多くの人が分かっている。そこへパスを出さない周りが悪いという指摘があるのも分かる。
とはいえ、ストライカーであるならば、限られたチャンスを仕留めなければいけない。控えからステップアップするためであれば、なおさらだ。大事な場面でキックミスやシュートミスをして、いつまでも連係に絡めないようでは、高さや強さという良い武器を持っていても、「あいつならボールを任せられる」と信頼はされない。
チャンスは与えられてきた。だが、そういった信頼関係を築けていない。
アギーレはいつかはそこが噛み合うはずだと期待してきたわけだ。それだけに、このチャンスを活かせなかったのは、柴崎のプレー同様に、観ていて歯痒かった。
そして武藤。自らの持ち味を出し切ろうという意欲は伝わってきた。だが、デビュー以来、次の段階へ行けずにいる。フィジカル、運動量、シュート力と、いずれも高いレベルで、もちろんビッグチャンスのどれかひとつを決めていれば、ヒーローだっただろう。
しかしその能力をいかにチームに落とし込み、周りの選手を昇華させ、そしてレギュラーを奪うのか。そのステップを踏み込めず、自分の感性だけで勝負していたようにしか見えない。
その点に気付いて改善してきた乾と異なり、武藤は周囲との関係性を築けずにいる気がする。FWに求められる試合を読む力が養われていない。
最後は、本田と香川がPKを外して、日本の戦いは幕を閉じた。
このふたりもかなり批判を受けるに違いない。
Wエースの失敗は、なにかしらの暗示だと言う人もいるかもしれない。しかし、ワシが今大会最も痛感したのは、むしろ逆だ。
ヨーロッパ組とJリーグ組の格差が広がっている――。
「ヨーロッパ組だから」と言うだけで評価するのは好きではない。むしろ、Jリーグ組だってやれるんだぞ、とずっと思ってきたひとりである。
それでも今大会、適応力、プレーの安定感、試合を読む力、そして純粋なテクニック……前線の選手に関して言えば、すべての面でヨーロッパ組はJリーグ組を上回っていたと言わざるを得ない。
ちょうどJリーグがオフ期間だとはいえ、レギュラー争いに挑む立場なのだから、正直、もっと目の色を変えて、主役の座を狙ってほしかった。
このギャップをいかに埋めるかが、ロシア・ワールドカップへの課題になるだろう。
海を渡って行った南野、柿谷、原口、大迫らは、さらにもがきながら、個性と対応力を磨いていけばいいのではないか。また、今回試合には出られなかったが素質は十分な西川、昌子、植田……彼らも可能性は十分秘めている。
ただし、この結果を受けて、「これまで通りではいけない」という相当に高い意識を持って、Jリーグの開幕に向かわなければいけない。
2015年のアジアカップ。ワシはJリーグの危機を感じた。
解説:金田喜稔(元日本代表)