【アジアカップ】金田喜稔が斬る! 「Jリーグ組の危機を感じた」

カテゴリ:日本代表

サッカーダイジェスト編集部

2015年01月23日

最大の敗因は、切り札が現われなかったこと。厳しい言い方をすれば、柴崎はあのワンプレーだけだった。

柴崎のゴールは素晴らしかったものの、厳しいが、あのワンプレーだけだったという印象も強い。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 一方で、疑問を抱いた采配もあった。
 
 この試合、ハムストリングを傷めた長友が、そのまま15分ほど左SBでプレーを続けた。その後、アギーレは長友を前線に置いたが、あの配置換えの対応は遅すぎた。相手がいわゆる強豪国だったら、徹底的に日本の左サイドを突いてきたはずだった。
 
 しかも、アギーレが長友を前線の中央に上げた、そのポジションにも首を捻った。そのために、中央でトライアングルを形成する長谷部らの良さまでもが消えてしまったのだ。
 
 怪我をした選手はサイドの高い位置に置き、足下でパスをさばくだけでいいという形にすべきだった。その常套手段を取らずに、結局、日本の良かった攻撃が寸断されてしまった気がして、「監督はいったい、どうしたいんだろう?」と思ったのは事実だ。
 
 本来は延長戦を考え、3枚目のカードは温存しておきたいところ。だが先制点を与えたがために、早い段階で3枚のカードを切らざるを得なかった。試合は生き物のように先が読めないわけだから、その交代策は仕方がなかった。長友もあれだけ走り続けていたのだから、アクシデントはやむを得なかったと思う。
 
 つまり、それまでに試合を決め切れば良かったのだ。そのチャンスはいくらでもあった。
 
 今回の最大の敗因として挙げたいのが、切り札が現われなかったことである。
 
 このチームが戦っていたのは「対アジア」ではなく、「対チーム内」だったのかもしれない。こうしたトーナメントを勝ち切るには、総合力が問われる。結果的に、日本代表の総合力が上がっていないという現実を突き付けられたのではないか。
 
 アギーレはまずJリーグ組にチャンスを与えてきたものの、思うような結果を得られず、次第にヨーロッパで活躍する選手を組み込んでいった。その融合を図るなか、今大会の乾が象徴的であり、長谷部がアンカーを高いレベルでこなしたように、ヨーロッパ組は順応力の高さを示していったと言えた。
 
 一方、UAE戦で途中出場したのが柴崎、武藤、豊田のJリーグ組だった。
 
 まず、柴崎のゴールは素晴らしかった。まさにチームが共有していた、クサビのパスからの本田とのワンツーで敵陣を綺麗に切り裂いた。
 
 が、厳しい言い方をすれば、あのワンプレーだけだった。だから正直なところ、ワシはそこまで柴崎を褒められない。
 
 本気でレギュラーを奪おうと思うのであれば、あのまま凌駕してほしかった。気迫を出し切ってほしかった。
 
 なぜ、落ち着いてしまったのか? 
 
 ガツンとボールを奪いに行って局面を打開するコンタクトも見られなかった。途中から右SBに置かれて思うように前へ行けなくなったが、それまでにアピールできなかったのだ。「これは俺の試合にしてみせる」と強気に、試合を決定づけるプレーぶりではなかった。
 
 柴崎はその“あと一歩”が足りずに、ここまで来てしまった。できるのにやり切れていない。そこにもどかしさを感じてしまう。
 
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