部屋に戻って封筒を開けてみると……「岡田さんの気持ちがすごく嬉しかった」
岡田監督はセカンドバッグから人数分の封筒を取り出し、小野剛コーチやマリオGKコーチら一人ひとりに手渡していった。並木たちの順になると少し雑になり、笑いながらブーメランのようにして投げてきた。
「投げられるぐらいなんで、うすって思っていたですよ(笑)。でも、部屋に戻って開けてみたらピン札で、たしか20万円ぐらい入っていた。その時、十数名いたんで、岡田さん、大金をセカンドバッグに入れてもってきたんですよ。ほんと、岡田さんの気持ちが、すごく嬉しかったですね」
岡田監督には明確なスタイルがあったという。
前任者の加茂周監督は親分気質でスタッフに、他のスタッフの調子を聞いていた。だが、岡田監督は、直接スタッフ本人に話を聞き、各自の状態を把握しつつ、選手についてなどいろんな情報を得ていた。
「投げられるぐらいなんで、うすって思っていたですよ(笑)。でも、部屋に戻って開けてみたらピン札で、たしか20万円ぐらい入っていた。その時、十数名いたんで、岡田さん、大金をセカンドバッグに入れてもってきたんですよ。ほんと、岡田さんの気持ちが、すごく嬉しかったですね」
岡田監督には明確なスタイルがあったという。
前任者の加茂周監督は親分気質でスタッフに、他のスタッフの調子を聞いていた。だが、岡田監督は、直接スタッフ本人に話を聞き、各自の状態を把握しつつ、選手についてなどいろんな情報を得ていた。
「試合前は世界に入ってしまうんで、話かけられないけど、普段はできるだけみんなと話をするという監督でしたね。そうして全員に目配りしていたんです」
そんな監督だからこそ、苦しくとも最後にチームはひとつになり、ワールドカップへの扉を押し開くことができたのだろう。
そして、封筒のお礼は、フランス行きの約束手形にもなったのである。
文●佐藤 俊(スポーツライター)