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【W杯アジア予選を突破した日】初出場を決めたマレーシアの夜と岡田監督からのお礼の封筒

カテゴリ:連載・コラム

佐藤俊

2020年04月18日

部屋に戻って封筒を開けてみると……「岡田さんの気持ちがすごく嬉しかった」

現在はFC今治のオーナーを務める岡田氏。並木トレーナーは「全員に目配りができる監督だった」と振り返る。写真:早草紀子

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 岡田監督はセカンドバッグから人数分の封筒を取り出し、小野剛コーチやマリオGKコーチら一人ひとりに手渡していった。並木たちの順になると少し雑になり、笑いながらブーメランのようにして投げてきた。

「投げられるぐらいなんで、うすって思っていたですよ(笑)。でも、部屋に戻って開けてみたらピン札で、たしか20万円ぐらい入っていた。その時、十数名いたんで、岡田さん、大金をセカンドバッグに入れてもってきたんですよ。ほんと、岡田さんの気持ちが、すごく嬉しかったですね」

 岡田監督には明確なスタイルがあったという。

 前任者の加茂周監督は親分気質でスタッフに、他のスタッフの調子を聞いていた。だが、岡田監督は、直接スタッフ本人に話を聞き、各自の状態を把握しつつ、選手についてなどいろんな情報を得ていた。

「試合前は世界に入ってしまうんで、話かけられないけど、普段はできるだけみんなと話をするという監督でしたね。そうして全員に目配りしていたんです」
 
 そんな監督だからこそ、苦しくとも最後にチームはひとつになり、ワールドカップへの扉を押し開くことができたのだろう。

 そして、封筒のお礼は、フランス行きの約束手形にもなったのである。

文●佐藤 俊(スポーツライター)
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