「嫁と相談したらみんなと分けた方がいいよってことで…」
延長後半終了間際に岡野雅行がゴールデンゴールを決めた時、並木は岡田監督とほぼ同時にピッチに飛び出した。ワールドカップ出場を決めたら最初にピッチに飛び出そうとエキップの麻生英雄と約束していたが、興奮してひとりで飛び出した。だが、抱きつこうと思っていた岡野のところに行くまでに、1人の選手にものすごいスピードで抜かれた。それがカズだった。
ロッカーに戻り、落ち着くと岡田監督とトイレに行った。すると岡田監督に「ナズー、タバコくれ」と言われ、トイレの中で一服した。岡田監督は紫煙をくゆらせながら美味しそうに吸っていた。半端ないプレッシャーの中で戦い、苦しんだ気持ちが解放され、煙になって消えていくようだった。
ロッカールームには小倉純二専務理事、そして大仁邦彌技術委員長がニコニコしながら訪れた。選手たちは最終予選突破のボーナスを求め、「1000万円、1000万円」というコールで盛り上がった。並木も一緒になって、ボーナスコールをしていたが、大仁技術委員長に「おまえはないよ」と苦笑して言われたという。
ロッカーに戻り、落ち着くと岡田監督とトイレに行った。すると岡田監督に「ナズー、タバコくれ」と言われ、トイレの中で一服した。岡田監督は紫煙をくゆらせながら美味しそうに吸っていた。半端ないプレッシャーの中で戦い、苦しんだ気持ちが解放され、煙になって消えていくようだった。
ロッカールームには小倉純二専務理事、そして大仁邦彌技術委員長がニコニコしながら訪れた。選手たちは最終予選突破のボーナスを求め、「1000万円、1000万円」というコールで盛り上がった。並木も一緒になって、ボーナスコールをしていたが、大仁技術委員長に「おまえはないよ」と苦笑して言われたという。
その日から1週間後、並木たち日本代表チームのスタッフは御殿場の時之栖に集合し、慰労会を行なった。レストランで食事をした後、敷地内にあるパオというモンゴル式のテントがカラオケルームになっており、そこに移動した。すると岡田さんだけちょっと席を外し、遅れて戻ってきた。レストランの客全員にサインをしたら飲食代が無料になるとのとことで30分ほどサインをしてきたのだという。そうして、飲んで、歌って酔いが回ってきた時、岡田監督は「ちょっと、1回待ってくれ」と声をかけた。
カラオケを止めると岡田監督は、こうみんなに語りかけたという。
「これまで、みんなに何のお礼もしていないので挨拶させてくれ。ワールドカップまで監督を続けるかどうか正式に決まっていないけど、ここまでこれたのはみんなのおかげなのでありがとう。協会から俺だけボーナスもらってしまったんで、嫁と相談したらみんなと分けた方がいいよってことで、お礼の意味を込めて渡したいと思います」