「7年半……。クレイジーですね(笑)」南野が語る吉田の凄さ
そんな世界的名手たちとポジションを争いながらも、吉田はサウサンプトンとの契約を2度にわたり更新した。
プレミアリーグのピッチに立った日本人選手はこれまで9名いるが、所属クラブとの契約を更新したのは、吉田ただ一人しかいない。ベンチを温めた時期もあったが、監督とクラブから信頼されていたからこそ契約延長を勝ち取れた。
在籍5シーズン目の16−17シーズンからは、主将を務める試合が増えた。
キャプテンの重要な仕事の一つに、試合前の更衣室でのスピーチがある。もちろん、言葉は英語。選手たちを前にゲームのポイントを的確に伝え、仲間の士気を一気に高める。毎回「噛まずにできてよかった」と日本人記者の前では苦笑いを浮かべていたが、個性の強いプレミアリーグの選手たちを一つに束ねるのは決して簡単なことではない。
そんな吉田を、日本代表のチームメイトはどう見ているのだろうか。今年1月、オーストリア1部ザルツブルクからリバプールに移籍してきた南野拓実に質問をぶつけてみた。
「加入してきたばかりで難しいかもしれないが、イングランドに身を置いてみて、吉田の功績をどう感じるか」。そう尋ねると、25歳のアタッカーは次のように答えた。
プレミアリーグのピッチに立った日本人選手はこれまで9名いるが、所属クラブとの契約を更新したのは、吉田ただ一人しかいない。ベンチを温めた時期もあったが、監督とクラブから信頼されていたからこそ契約延長を勝ち取れた。
在籍5シーズン目の16−17シーズンからは、主将を務める試合が増えた。
キャプテンの重要な仕事の一つに、試合前の更衣室でのスピーチがある。もちろん、言葉は英語。選手たちを前にゲームのポイントを的確に伝え、仲間の士気を一気に高める。毎回「噛まずにできてよかった」と日本人記者の前では苦笑いを浮かべていたが、個性の強いプレミアリーグの選手たちを一つに束ねるのは決して簡単なことではない。
そんな吉田を、日本代表のチームメイトはどう見ているのだろうか。今年1月、オーストリア1部ザルツブルクからリバプールに移籍してきた南野拓実に質問をぶつけてみた。
「加入してきたばかりで難しいかもしれないが、イングランドに身を置いてみて、吉田の功績をどう感じるか」。そう尋ねると、25歳のアタッカーは次のように答えた。
「7年半……。クレイジーですね(笑)。俺もザルツブルクで5年やりました。もう上から3番目くらい(在籍年数が)長かったですけど、それをこのプレミアリーグでやり抜いた。毎年のように10億(円)以上で引き抜かれる選手たちとポジション争いして、そこで勝ち残ってプレーし続けたというのは……たぶん本人はあまり言わないと思うんですけど、それは僕ら選手の立場からすると本当に凄いこと。
英語のコミュニケーションもばっちり取れるし、やっぱり、凄い選手だなと思いますね。まだまだ来たばっかりなので偉そうなこと言えないですけど。外から見ている僕ですら、それぐらいに感じます。僕ら日本代表のキャプテンは、凄く偉大な選手です」
16年11月の欧州リーグでサウサンプトンがインテルと対戦した際には、当時イタリアでプレーしていた長友佑都(現トルコ1部ガラタサライ)が、「麻也がプレミアで長くやっているのは、改めてすごいことだと思います」と敬意を表していた。
また、17年4月に吉田がプレミアリーグ出場100試合を達成したとき、レスターに在籍していた岡崎慎司(現スペイン2部ウエスカ)が、「我慢の時期も長い間あったと思うんですけど、麻也はプレミアリーグでの歴史を作っていると思う」と、しみじみと語っていた。
在籍7年半で、吉田はプレミアリーグ154試合に出場。公式戦通算では194試合でピッチに立った。在籍年数、試合出場数とも、歴代日本人選手ではトップ。まさに前人未到の記録をイングランドで築いた。
その吉田がイタリアへの挑戦を決めた。まだ31歳と錆びつく年ではなく、“守備の国”で刺激を受け、CBとして成長するに違いない。はたして、どんな進化を見せてくれるだろうか。
取材・文●田嶋コウスケ
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後編は近日公開