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プレミアで成長し、サウサンプトンに愛された吉田麻也。英国での7年半を振り返る/前編【現地発】

カテゴリ:海外日本人

田嶋コウスケ

2020年02月08日

クラブの用具係から送られた心からの言葉

サウサンプトンでは名手たちとコンビを組んできた吉田。とりわけファン・ダイク(17番)との連係は絶妙だった。 (C) Getty Images

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 振り返ると、吉田はサウサンプトンで幾多の苦難を乗り越えて成長してきた。

 2年前には胃が擦り切れる思いで残留争いを戦った。1戦1戦が、チャンピオンシップ(イングランド2部)降格に直結する真剣勝負だっただけに、最終節直前の37節で辛うじて1部残留を決めたときはチームメートと喜びを爆発させた。

 一方で、善戦しながらもマンチェスター・ユナイテッドにリーグカップ決勝(17年2月)で敗れたときは、タイトルまであと一歩のところで涙を呑んだ。

 世界中から集まった精鋭たちと、普段のリーグ戦で対峙する厳しい世界最高峰の舞台で、メキメキと力を伸ばしていった。

 その吉田が、今冬の移籍市場が閉じる1月31日、セリエAのサンプドリアへのレンタル移籍を決めた。今シーズン終了時までのレンタル契約となるが、イアリア・メディアの報道によると、1~2年の完全移籍のオプションが付いているという。

 現在31歳の吉田とサウサンプトンとの契約は今シーズン限り。可能性はゼロでないにせよ、戻ってくる確率は限りなく低い。

 そんな事情を察しているのだろう。サンプドリアへの移籍が決まると、吉田のSNSアカウントには心温まるメッセージが数多く寄せられた。サウサンプトンのチームメートはもちろん、クラブスタッフや、街で吉田と一枚の写真に収まったというサポーターなど、送り主は様々だった。

 なかでも、クラブの用具係を務めるマーク・フォーブス氏が送ったメッセージが心に響いた。「マヤ、7年強にわたる思い出は幸せだった。ピッチ内では、サウサンプトンと日本代表のリーダー。ピッチを離れても愛すべき、そして尊敬すべき人物だ。ありがとう」。深く愛されていたからこその心からの言葉だった。

 無論、クラブから愛されていただけではない。ワールドクラスのディフェンダーたちと熾烈なポジション争いを繰り広げた7年半でもあった。

 12年の入団時には、ポルトガル代表DFのジョゼ・フォンテ(現リール)からリーダーシップを学んだ。フォンテは英3部から這い上がってきた苦労人で、決してブレない強い精神力に吉田も大いに刺激を受けた。

 13−14シーズンは、クロアチア代表DFデヤン・ロブレン(現リバプール)、14-15シーズンはベルギー代表DFトビー・アルデルワイレルド(現トッテナム)とポジションを争った。両選手とも守備能力が高く、吉田も「盗める技術はなんでも取り入れたい」と積極的に技を盗んだ。

 極めつけは、2015~17年までサウサンプトンでともに戦ったオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイクだ。

 昨シーズンにリバプールで欧州の頂点に立ち、バロンドール候補にも選ばれたCBについて、吉田はサウサンプトン在籍時から「すごい選手」とその才能を高く評価していた。とくに、目を奪われていたのがインターセプトの巧さで、「すごく巧い。見ていてとても勉強になります」と、動き方を学んでいた。
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