日本とイタリアの子どものモチベーションの持ち方が違うのはなぜか?

サン・シーロでの試合のハーフタイムにトレーニング。アカデミーのプログラムの一環で行なわれる。

ミランアカデミーからは強豪高校への進学者も多数。適応力を養う指導を心掛けているという。
日本では夏休みに練習や試合を詰め込むので、子どもたちは疲弊し切ってしまう。一方ミランアカデミーに所属し、しっかりと休養を取れる選手たちは、夏が終わると見違えるように身体が大きくなる。
モネーゼ氏が解説する。
「ここでこだわるのはトレーニングの質であり、量ではない。科学的な根拠に基づき、3大要素を身につけてもらうようにしている。技術だけではなく、アスリート能力やコーディネーション能力、それにメンタル、パーソナリティ(人間性)も大切だ。具体的には、グループを少人数(8~12人)で保ち、トレーニングを待つ列を減らし、ボールに触る回数を増やしている」
一方でモネーゼ氏は、総体的な日本人のスポーツへのアプローチに疑問を呈している。
「イタリアと日本では、子どもたちのモチベーションの持ち方が違う。イタリアの子どもたちは、ただサッカーが好きで上手くなりたいからやる。でも日本の子どもたちは、プロになるためにやり、なれないと思えばやめてしまう。この考え方やアプローチが変われば、もっと良い選手が育ってくるはずだ」
モネーゼ氏が解説する。
「ここでこだわるのはトレーニングの質であり、量ではない。科学的な根拠に基づき、3大要素を身につけてもらうようにしている。技術だけではなく、アスリート能力やコーディネーション能力、それにメンタル、パーソナリティ(人間性)も大切だ。具体的には、グループを少人数(8~12人)で保ち、トレーニングを待つ列を減らし、ボールに触る回数を増やしている」
一方でモネーゼ氏は、総体的な日本人のスポーツへのアプローチに疑問を呈している。
「イタリアと日本では、子どもたちのモチベーションの持ち方が違う。イタリアの子どもたちは、ただサッカーが好きで上手くなりたいからやる。でも日本の子どもたちは、プロになるためにやり、なれないと思えばやめてしまう。この考え方やアプローチが変われば、もっと良い選手が育ってくるはずだ」
興味深い話がある。イタリアでは赤ちゃんは1歳半くらいまで立ち上らないし、幼稚園児が読み書きをするケースも滅多にないという。それは親が子どもの成長に鷹揚だからで、イタリアの親は子どもが自分で何かを探し、答えを見つけ出すのを待つことができる。逆にプロという目標を掲げられ、そのために邁進する日本の子どもたちは、それが見えなくなると挫折してピッチから去ってしまうのだ。
ミランアカデミーが将来を見据えて選手たちの受け皿を用意したのは、時間をかけても遠い将来Jクラブを目指す想いもあるが、それ以上に多くの人たちが生涯スポーツを楽しむ機会を創出していきたいという理想がある。むしろ、それこそがミランの哲学の本質である。
取材・文●加部 究(スポーツライター)