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CL決勝が紡いできた「奇跡」の歴史。逆転のドラマが生まれるには、そこに必ず理由がある

カテゴリ:連載・コラム

吉田治良

2019年05月30日

「相手のミスがあって、初めて形勢は逆転する」

リバプールが3点ビハインドを追いついた05年ファイナルを、敵将のアンチェロッティは「狂気の6分間」と振り返った。(C)Getty Images

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 昨年のロシア・ワールドカップでベルギーにまさかの逆転負けを喫し、泣きながら激しく芝生を叩きつける昌子源を見た時、ふと頭をよぎったのが、20年前のカンプ・ノウで観た光景だった。決勝点を奪われた直後、バイエルンのCBサミュエル・クフォーは、まったく同じように何度も何度も拳をピッチに振り下ろしていた。
 
 とはいえ、逆転のドラマが生まれるには、そこに必ず理由がある。
 
「羽生マジック」と呼ばれる逆転の一手で、数々の伝説を残してきた将棋の羽生善治九段の言葉には、スポーツの世界にも通じる示唆に富んだ名言が少なくない。
 
 いわく、「相手のミスがあって、初めて形勢は逆転する」──。
 
 99年のバイエルンは、何度となくトドメを刺す決定的なチャンスを得ながら、それをことごとくふいにしてユナイテッドに蘇生の猶予を与えた。それは、同じく90分間での逆転劇となった05-06シーズンのファイナルにも言えることだ。前半早々にGKイェンス・レーマンが退場。ひとり少ない状況でまんまと先制に成功したアーセナルだったが、69分にティエリ・アンリがGKとの1対1を外して追加点を奪えず、その後のバルサの反撃を招いている。

 いわく、「勝とうとすることはある意味で欲だ。その欲が考えを鈍くしたり、踏み込みを悪くする」──。
 
 05年のミランは、前半の3点のリードで、すっかりトロフィーを手にした気になってはいなかったか。残りの45分間はそれを守り抜きさえすればいいと、受けに回ってはしまわなかったか。
 
 いわく、「勝敗を決定するのは、“ただの一手”であったりする。絶妙の一手。あるいは絶妙に見えて最悪の一手。この一手を見つけるため、棋士はたえず研鑽を積み、盤面に全神経を集中させている」──。
 
「カンプ・ノウの奇跡」というシナリオを完結させたのは、アレックス・ファーガソン監督が終盤に切った、シェリンガム、スールシャールという2枚のジョーカーだった。そしてもしかすると、精神的支柱としてチームメイトを鼓舞し続けてきたローター・マテウスを、80分にベンチへ下げた敵将オットマール・ヒッツフェルトの策は、絶妙に見えて最悪の一手だったのかもしれない。
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