「世界最高峰のCF」ケインを徹底分析。技術的、戦術的、メンタル的な強みとは?

カテゴリ:ワールド

ロベルト・ロッシ

2019年02月28日

特筆すべきパーソナリティーの強さ。

故障離脱から復帰した2月23日のバーンリー戦では、さっそくゴールを挙げた。(C)Getty Images

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 本格的にブレイクしてプレミアリーグで21得点を挙げた14-15シーズン当時からすでに、ここまで見てきたような長所をケインは備えていた。素晴らしいのは、以降のシーズンで25、29、30とコンスタントかつ尻上がりにゴールを重ねてきたところだ。15–16シーズンからは2年連続でプレミアリーグ得点王に輝いている。今シーズンも1月下旬から約1か月の負傷離脱を強いられながら、ここまで23試合で15ゴールと高い決定力を誇っている。
 
 トッテナムがその間一貫してマウリシオ・ポチェティーノ監督に率いられ、ひとつの明確なコンセプトを掲げたサッカーを続けていることがプラスに働いていることは確かだ。しかしそれを差し引いてもなお、この際立った継続性、安定性は特筆すべきものだ。これが例えば25歳から28歳というプレーヤーとして成熟した時期に記録されたものならば、そこまで驚くには当たらない。しかし21歳でブレイクしてから25歳まで、プレーヤーとしての成長期にあたる時期にこれだけコンスタントに結果を残しているというのは驚異的だ。
 
 同世代のCFとしては同じく際立った存在であるマウロ・イカルディ(インテル)ですら、ケインとは異なりゴールに特化したプレースタイルを持つにもかかわらず、数字の上では彼を下回っている。プレミアリーグでのライバル格であるロメロ・ルカク(マンチェスター・U)は、この2人と比べるとパフォーマンスにも結果にもずっとムラがある。
 
 この特筆すべき安定性、継続性の大きな部分を支えているのは、パーソナリティーの強さだ。どんな状況でも冷静さを失わずに淡々とプレーし、動揺したり逆上したりする場面を見せることはほぼ皆無。25歳にしてイングランド代表でキャプテンマークを腕に巻き、ロシア・ワールドカップではPKが3つとはいえ大会最多の6ゴールを挙げてベスト4という結果に大きな貢献を果たした事実は、多くを物語るものだ。
 
 文句なく「世界最高のCF」と呼ばれるために必要なことがあるとすれば、チャンピオンズ・リーグやワールドカップ、EUROのようなビッグタイトルが懸かった本当のビッグマッチで、決定的な違いを作り出すことだろう。クラブレベルでは、トッテナムに留まっている限りそれを実現することは難しい。
 
 となると、最初の機会はおそらく1年半後に行われるEURO2020ということになるだろう。その準決勝と決勝の舞台となるのは、イングランド代表の本拠地で、現在はトッテナムも間借りしているウェンブリー・スタジアム。ケインが「世界最高のCF」の定評を確立するうえで、これ以上に相応しい場所はないはずだ。
 
分析:ロベルト・ロッシ
翻訳:片野道郎
 
●分析者プロフィール
ロベルト・ロッシ/1962年3月16日生まれのイタリア人監督。MFだった現役時代は、チェゼーナの育成部門でアリーゴ・サッキ(元イタリア代表監督)に、ヴェネツィアではアルベルト・ザッケローニ(元日本代表監督)に師事。99年に引退し、01~08年はラツィオやインテルなどでザッケローニのスタッフ(コーチ兼スカウト)を務める。その後は独り立ちして下部リーグの監督を歴任。19年1月からチェゼーナ女子(セリエB)の指揮官を務める。

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