スピードはあっても、なにかが不足しているケースが多い。
岩政 最近の若年層の全体像は? 選手は育っていますか?
森山 全体としてパス回しが上手い選手は増えてきていますが、例えばワイドで縦に仕掛ける選手は……。今のA代表で言えば原口元気や齋藤学のような、サイドでグイグイ仕掛けるドリブラーが減っているような気はします。
岩政 なぜ減っているのでしょう。思い当たる理由は?
森山 理由は分かりませんが、そういう選手を見つけようと思ってもなかなかいない。スピードがある子が上手く育ってきていないというか……。スピードはあっても、判断力やテクニックがないとか、ポジショニングが分かってないとか、なにかが不足しているケースが多い。結局、戦術理解度の高いボランチの選手にやらせたほうが上手くいってしまうんです。サイドの選手が育たないのは、そういう事情もあるかもしれません。
実際、私もU-17ワールドカップの時に、センターバックが怪我をしてしまったのでサイドバックをセンターバックにスライドして、ボランチの選手にサイドバックをやらせました。控えのサイドバックも呼んでいましたが、攻撃力はあるけど守備のポジションが取れなかったからです。
岩政 育成の部分が上手くいっていないと?
森山 全体としてパス回しが上手い選手は増えてきていますが、例えばワイドで縦に仕掛ける選手は……。今のA代表で言えば原口元気や齋藤学のような、サイドでグイグイ仕掛けるドリブラーが減っているような気はします。
岩政 なぜ減っているのでしょう。思い当たる理由は?
森山 理由は分かりませんが、そういう選手を見つけようと思ってもなかなかいない。スピードがある子が上手く育ってきていないというか……。スピードはあっても、判断力やテクニックがないとか、ポジショニングが分かってないとか、なにかが不足しているケースが多い。結局、戦術理解度の高いボランチの選手にやらせたほうが上手くいってしまうんです。サイドの選手が育たないのは、そういう事情もあるかもしれません。
実際、私もU-17ワールドカップの時に、センターバックが怪我をしてしまったのでサイドバックをセンターバックにスライドして、ボランチの選手にサイドバックをやらせました。控えのサイドバックも呼んでいましたが、攻撃力はあるけど守備のポジションが取れなかったからです。
岩政 育成の部分が上手くいっていないと?
森山 スピードのある選手が上手くサッカー的なところに適応できずに埋もれてしまっているのかもしれません。また、体格に恵まれた選手も、同じような問題を抱えている可能性があります。
野球ではダルビッシュ有選手や大谷翔平選手のように190センチで100キロ以上ある体格の良いトップレベルの選手がいますよね。もしかしたら、サッカーにもそういった素材いるかもしれないけど、発達が遅かったり、技術が足りないためにベンチにいて、鍛えられないまま他の競技に流れている可能性もあります。そういう選手をどうやって発掘し、育成していくか。日本がここからもう一歩先に行くためには、そういうことが必要かもしれません。
岩政 日本が世界で戦えるようになるには、ジュニアユースよりも下の年代、普及の部分の改善も必要になって来そうですね。
森山 そうですね。いつ、どこで、誰が良い素材と巡り合うかわからない。だから、我々指導者は、その選手がどうやったら次のステージで活躍していけるかという視点を持ちながらやることが大事。そういう意味では、日本の指導者の評価基準が、大会に優勝したとかではなく、こういう選手を育てたというのが物差しになっていくといいと思っています。
岩政 まったくその通りですね。
森山 Jリーグのアカデミーで言えば、GMや社長クラスが理解して、指導者に求めていくのが理想です。海外では、町クラブがプロクラブに選手を送り込むと、その町クラブの価値がぐんと上がる。それがステータスなんです。日本は試合に勝った、あそこが優勝したというチームに人が集まる。そこを変えなければいけませんよ。
《第4回「ズバリ聞きます「選手選考」の基準は?「海外遠征」で選手はどう変わる?」は8日18時公開予定》
【著者プロフィール】
森山佳郎(もりやま・よしろう)/1967年11月9日、熊本県出身。現役時代は運動量豊富なサイドバックとして広島、横浜Fなどでプレー。引退後、広島ユースのコーチ、監督を歴任し、強豪チームに育て上げた。13年に日本協会入りし、現在はU-16日本代表の監督を務める。
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカW杯メンバーにも選出された。現在は、東京ユナイテッドFCで選手兼コーチを務める。
野球ではダルビッシュ有選手や大谷翔平選手のように190センチで100キロ以上ある体格の良いトップレベルの選手がいますよね。もしかしたら、サッカーにもそういった素材いるかもしれないけど、発達が遅かったり、技術が足りないためにベンチにいて、鍛えられないまま他の競技に流れている可能性もあります。そういう選手をどうやって発掘し、育成していくか。日本がここからもう一歩先に行くためには、そういうことが必要かもしれません。
岩政 日本が世界で戦えるようになるには、ジュニアユースよりも下の年代、普及の部分の改善も必要になって来そうですね。
森山 そうですね。いつ、どこで、誰が良い素材と巡り合うかわからない。だから、我々指導者は、その選手がどうやったら次のステージで活躍していけるかという視点を持ちながらやることが大事。そういう意味では、日本の指導者の評価基準が、大会に優勝したとかではなく、こういう選手を育てたというのが物差しになっていくといいと思っています。
岩政 まったくその通りですね。
森山 Jリーグのアカデミーで言えば、GMや社長クラスが理解して、指導者に求めていくのが理想です。海外では、町クラブがプロクラブに選手を送り込むと、その町クラブの価値がぐんと上がる。それがステータスなんです。日本は試合に勝った、あそこが優勝したというチームに人が集まる。そこを変えなければいけませんよ。
《第4回「ズバリ聞きます「選手選考」の基準は?「海外遠征」で選手はどう変わる?」は8日18時公開予定》
【著者プロフィール】
森山佳郎(もりやま・よしろう)/1967年11月9日、熊本県出身。現役時代は運動量豊富なサイドバックとして広島、横浜Fなどでプレー。引退後、広島ユースのコーチ、監督を歴任し、強豪チームに育て上げた。13年に日本協会入りし、現在はU-16日本代表の監督を務める。
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカW杯メンバーにも選出された。現在は、東京ユナイテッドFCで選手兼コーチを務める。