ロナウドはなぜ「フェノーメノ」だったのか? 現代でも通用するか?

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ロベルト・ロッシ

2017年12月30日

フットボール史上に残る真の「フェノーメノ」だった。

02年の日韓W杯では得点ランクトップの8ゴールを挙げてブラジルの優勝に大貢献。故障明けでもはやかつてのスピードはなかったが、ゴールセンスは衰え知らずだった。(C)Getty Images

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 キャリア末期にレアル・マドリーやミランでも、そのスピードを失った後も際立ったテクニックとゴールセンスで違いを作り出していたという事実が示す通り、トップレベルのストライカーとしてのパフォーマンスを見せるであろうことに変わりはない。ただ「フェノーメノ」と呼ばれるに相応しい、それこそ口をあんぐりと開けて呆然と見守るしかないような圧倒的な突破やゴールは、当時よりも現代のほうが難易度は高くなるのはたしかだ。
 
 今のヨーロッパであれば、マンチェスター・U、R・マドリーといった、攻撃の最終局面を個人能力に依存するタイプのクラブに所属していれば、絶対的エースとして年間30ゴール以上を挙げることも不可能ではないと思う。
 
 ただしそれは、98年までの全盛期のパフォーマンスなら、という条件つきだ。ロナウドがメッシやC・ロナウドのように一時代を築くスーパースターになれなかったのは、二度にわたる膝蓋腱断裂という不運だけでなく、厳しいプレッシャーにも耐える強靭なパーソナリティー、常に自らを律してベストコンディションを保つプロフェッショナル精神といったメンタルな側面が、超ワールドクラスに相応しいとは言えないレベルに留まっていたことも大きな理由だ。巨大なプレッシャーに耐え切れず、心身に変調をきたした98年W杯決勝前夜のエピソードは実に象徴的だ。
 
 しかし、一緒にプレーしたチームメイトから、対戦したディフェンダー、指揮を執った監督まで、彼のパフォーマンスを目の当たりにした当事者たちは、口を揃えて「自分が知る中で最もすごい才能の持ち主だった」と語るのは、決して偶然ではない。ピークは本当に短かったが、ロナウドはフットボール史上に残る真の「フェノーメノ」だったのだ。
 
分析:ロベルト・ロッシ
取材・構成:片野道郎
 
[分析者プロフィール]
ロベルト・ロッシ/現役時代はチェゼーナの育成部門でアリーゴ・サッキに、ヴェネツィアでアルベルト・ザッケローニに師事。引退後はインテルなどでザッケローニのスタッフを務め、その後は独り立ちしてイタリアの下部リーグなどで監督を歴任する。現在はフリー。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では、「カルチャトーレ解体新書」などで現役監督ならではの分析記事が好評を博している。
 

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