ロナウドはなぜ「フェノーメノ」だったのか? 現代でも通用するか?

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ロベルト・ロッシ

2017年12月30日

バルサでもインテルでも自由に振る舞ってゴールを量産。

このシザース・フェイントなど、ロナウドはブラジルらしい妙技を欧州トップレベルで効果的に使った最初の選手に。インテルでは怪我に泣かされたが4年間で99試合・59得点を記録した。(C)REUTERS/AFLO

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 ロナウドの全盛期だった90年代末と、それから20年が過ぎた現在を比べれば、フットボールそのものが少なからず変化している。当時はまだ旧世代のマンツーマンディフェンスからアリーゴ・サッキがもたらした組織的なゾーンディフェンスへの移行期が続いており、前線のストライカーに与えられているスペースと時間は今よりも大きかった。とくに相手がマンツーマンディフェンスの場合には、どんなにタイトにマークされていても、一旦それを振り切ってしまえば、後はゴールまで遮るものはほとんどなかった。
 
 ロナウドで言えば、自分をマークするストッパーとの競り合いに勝てば、後はリベロ1人をかわすだけで良かったし、一旦スピードに乗った彼を1対1で止めることは誰にとっても不可能だった。ゾーンディフェンスにしても、現在のように予防的カバーリング/マーキングという考え方が発達していなかったため、スペースのあるところでフリーになってパスを受け、ターンして前を向くことは比較的容易だった。そしてロナウドが一旦前を向いてスタートを切ってしまえば、もはや打つ手がなかったことに変わりはない。
 
「ロナウドが戦術」と言い切ったボビー・ロブソンのバルセロナも、ルイジ・シモーニのインテルも、戦術的には古い時代に属するもので、ロナウドは戦術的規律の制約をほとんど受けることなく、前線で自由にプレーすることができた。最前線に張ってCBと駆け引きしながらボールが供給されるのを待つ古典的なCFとは異なり、ロナウドは積極的に敵2ライン(DFとMF)間に下がってパスを引き出し、遠目から前を向いて仕掛けるのを好んだ。カウンターアタックが強烈だったのはもちろん、敵陣浅めの位置でパスを受けて前を向いたら、あとは単独でドリブル突破を仕掛けそのままゴール前まで到達してシュートを叩き込んでしまうのが常だった。
 
 現代においても、その爆発的なスピードと優れたテクニックは変わることなく通用するだろう。ただ、ロナウドがその持ち味を最大限に発揮できるのはやはりオープンスペースでのドリブル突破においてであり、その意味ではポゼッションでチーム全体を押し上げて敵をゴール前に押し込め、そこからコンビネーションで狭いスペースを攻略してフィニッシュを狙うタイプのチームには、あまり合わないかもしれない。
 
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