【提言コラム】ハリル解任は最善策なのか?

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2017年12月25日

国内組の大半が期待を裏切った以上は…

パチューカで存在感を示す本田。このレフティの経験は捨て難い。写真:Getty Images

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 韓国戦の惨敗は間違いなく歴史的な汚点だが、一方でこれがワールドカップの本大会での出来事ではなくて良かったとの安堵感もある。
 
 ベストメンバーならまだしも、今回の招集メンバーには海外組も、クラブワールドカップに参戦した浦和勢も含まれていなかった。そう楽観的に捉えれば、多少なりとも近未来に希望が持てる。
 
 とはいえ、日本が弱いという事実は変わらない。北朝鮮や中国にさえ苦戦する有り様なのだから、世界の強豪国が集結するワールドカップでは主導権など握れないはずだ。
 
 ただ、そうした現実と、この段階で向き合える意義は決して小さくない。10年の南アフリカ大会の日本代表も、“自分たちの立場”を理解したうえで割り切った戦い方(文字通りの堅守速攻)を選択した結果、16強入りを果たしたのだから。

 理想を追求して惨敗した14年大会も踏まえれば、弱者としてどう振る舞うべきかを考えるべきなのだ。その意味で、韓国に敗れて危機感を持てたことはポジティブに捉えるべきだろう。
 
 その他に再認識すべきは、やはり頼るべきは海外組ということだ。
 
 E-1選手権の韓国戦でなにより気になったのは、ピッチ内の選手たちに修正力がなかったところである。1-1に追いつかれたあとはなんの手立てもないまま相手に蹂躙された。

 韓国戦でのハリルホジッチ監督の采配に納得できない部分はあるが、プレーしているのは選手たちだ。例えば監督からの指示がなければピッチ内の問題はピッチ内で解決すべきなのだが、韓国戦ではそういうアクションがなったように映った。
 
 その点、Jリーグ以上に自己表現が必要なヨーロッパの主要リーグでプレーしている選手たちのほうが断然、修正力がある。そうなると、欧州遠征では招集外となった香川真司(ドルトムント)、岡崎慎司(レスター)、さらに昨季までミランに在籍していた本田圭佑(現パチューカ)の存在は無視できない。
 
 E―1選手権で国内組の大半が期待を裏切った現状から判断すると、今後チームのベースとなるのは欧州遠征のメンバーだ。ここにE-1選手権でそれなりの存在感を示した小林悠、今野泰幸あたり(天皇杯の活躍次第では清武弘嗣も)が、そして左足の骨折から復帰した柴崎岳、ビッグ3(岡崎、香川、本田)が加わるかどうかが、3月の親善試合に向けた注目ポイントのひとつになる。
 
 ハリルホジッチ監督のコンセプトはこの2年8か月で多少なりとも浸透している。それをゼロに戻すよりも、今まで積み上げてきたものをどう活かし、修正するかを考えたほうがまだ良い。そのためにも、指示待ちではなく、自己表現もできる選手がチームに必要なのである。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
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