「監督大国」のイタリアが「指揮官の無策」でW杯出場を逃す皮肉…

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2017年11月15日

「監督大国」に老将しかいなかったとは…。

10番を背負ったインシーニェはプレーオフでわずか14分間の出場。指揮官のこれまでのこだわりはいったい何だったのか。(C)Getty Images

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 つまり、コンテ前監督が高度な戦術と強固な組織をベースに選手のクアリタ以上のチームを作り上げたのとは違って、ヴェントゥーラ現監督は選手の信頼すら勝ち取れずタレントの持ち味を引き出すどころか埋没させることしかできなかったのだ。『トゥットスポルト』紙が第2レグの指揮官採点に「0」を付けたのも当然だった。
 
 言うまでもなくイタリアは、自他ともに認める監督大国だ。バイエルンでキャリア初のシーズン途中解任の憂き目に遭ったとはいえ現役監督で屈指の実績を誇るカルロ・アンチェロッティをはじめ、チェルシーを就任1年でプレミアリーグ王者に導いたコンテ、レスターを奇跡の王者に導いたクラウディオ・ラニエリ(現ナント)、マンチェスター・シティの黄金時代を切り開いたロベルト・マンチーニ(現ゼニト)らが国外で活躍。マッシミリアーノ・アッレグリ(ユベントス)やマウリツィオ・サッリ(ナポリ)もいつ国外のメガクラブに引き抜かれても不思議がないし、ヴィンチェンツォ・モンテッラ(ミラン)、エウゼビオ・ディ・フランチェスコ(ローマ)、シモーネ・インザーギ(ラツィオ)など40代の新進気鋭も育っている。そんな国が監督の指導力不足でワールドカップ出場を逃すとは、皮肉としか言えない顛末だった。
 
 日常的にトレーニングが積めず、コーチと言うよりセレクターである代表監督は、野心的な新世代の指揮官たちがあまり興味を示さないポストだ。しかし、イタリアにモダンフットボールの潮流から取り残された来年で70歳になる老将しか、選択肢がなかったわけではないだろう。
 
 その意味では、ヴェントゥーラ監督はもちろん、相変わらず利権優先でご都合主義の老人たちが闊歩する旧態依然としたFIGC(イタリア・サッカー連盟)の責任も甚大だ。カルロ・タベッキオ会長には指揮官を切るタイミングが一度ならずあった。
 
 ワールドカップ優勝経験国でロシア大会に出場できないのはイタリアのみ。この歴史的汚点は、選手のクアリタ不足以上に、監督の力量不足が最大の原因だった。
 
文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
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