「監督大国」のイタリアが「指揮官の無策」でW杯出場を逃す皮肉…

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2017年11月15日

なんたる無策、なんたる愚行だろうか。

予選敗退に男泣きしたブッフォンは試合後、20年におよんだ代表チームからの引退を表明している。写真:Alberto LINGRIA

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 しかし、この4-2-4がまるで機能しない。中盤は常に数的不利に陥って簡単に攻め込まれ、パターン化された動きに縛られたアタッカー3人は明らかに窮屈そうで、攻守でバランスを欠いた。結果的に今予選はスペイン代表に0-3で惨敗し、アルバニア代表やイスラエル代表にも辛勝するのが精一杯という有様だった。
 
 ヴェントゥーラ監督はこれを受けてスウェーデン代表とのプレーオフ2試合で、3-5-2にいまさらながら回帰した。しかし、これで守備はまずまず安定したものの、攻撃は第1レグで糸口すら見えず偶発的な要素に頼り切り、第2レグのラスト30分間も同様。180分間で1ゴールすら奪えなかった。
 
 第2レグではアンカーのジョルジーニョ、FWマノーロ・ガッビアディーニと抜擢された2人が可能性を感じさせるプレーを見せたが、それまでの予選プレータイムは前者が0分間、後者は27分間で実質的な新戦力だった。それを考えれば、この日は丁半の博打がたまたま当たったに過ぎないし、むしろこれまで彼らを使わなかった指揮官の選択ミスが透けて見えた。
 
 さらに、背番号10を与えて攻撃の中心に指名し、あれだけこだわって起用していたインシーニェを第1レグのラスト14分間しか使わなかったのも理解に苦しむ。しかも、本来の左ウイングではなく、送り出す時に急遽「できるか?」と聞いたというインサイドハーフに置いた。なんたる無策、なんたる愚行だろうか。
 
 こうした理論を欠いた思い付きにしか見えない采配によって指揮官は、選手たちからの信頼とリスペクトを失っていった。『スカイ』によれば第2レグの直前、ベテラン選手たちはヴェントゥーラ監督に戦術変更を申し入れたところ、「じゃあ、お前らで勝手にやれ」と逆に突き放されたという。

 その第2レグではデ・ロッシがウォーミングアップを命じられると、「ふざけんな! 俺たちは引き分けじゃなくて、勝たなきゃいけないんだぞ!」とスタッフに激昂。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙によると本人は試合後、「アタッカーを入れるように頼んでいたんだ。インシーニェか(ステファン)エル・シャーラウィのほうが、俺よりも役に立つと思った」と打ち明けている。
 
 ブッフォンが「フットボールは勝っても負けても全員の功績と責任だ。監督だけのせいじゃない」と擁護したのは、ひとえにその優れた人間性とリーダーシップゆえ。この2つは選手と監督が一枚岩だったとは言い難いエピソードだった。
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