【現地発】「MBAPPE」の正しい読み方。エムバぺ? ムバッペ? ンバぺ?

カテゴリ:ワールド

結城麻里

2017年09月19日

モナコのスタッフは「キリアン」でも「エムバぺ」でもなく…。

エムバぺのファミリー。父親(右から2番目)はカメルーン系だ。(C)Getty Images

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 ところでガドー氏は、怪童をどう呼んでいたのだろうか? するとガドー氏は懐かしげに「僕はビビと呼んでいたんだよ」と笑った。ビビ? 
 
「まだ少年だった彼がトップチームにやってきたとき、疲労回復飲料を飲ませなくちゃいけなくてね、それが赤ちゃんにビブロン(哺乳瓶)でミルクをやるみたいな感じだったので、ビビと呼ぶようになったんだ(笑)」
 
 だがチームメイトはみな「キリアン」と呼んでいたし、当の本人は呼び方の要望など出したことはないそうである。
 
 父のルーツはカメルーン、母のルーツはフランス&アルジェリア。だがフランスで生まれ、パリ郊外のボンディで育った怪童は、“血統”で差別しないフランス国籍法に則り、フランス国籍のフランス人である。したがって正解は「エムバペ」または「エンバペ」。アフリカルーツにこだわるなら「ンバペ」となる。「ムバッペ」や「ンバッペ」は完全なる誤りだ。
 
 もっとも、この取材をしながらあるエピソードを思い出した。現フランス代表のキャプテンである「Lloris」が、アフリカルーツでも何でもないのに、当のフランス人から「ロリス」と「ヨリス」の2種類で呼ばれている件である。
 
 これがどうもスッキリしなかった知り合いの日本人ジャーナリストはある日、リヨン(当時)での独占インタビューで「ホントはどっちですか?」と聞いた。すると穏やかに微笑んだ代表キャプテンはこう答えた。
 
「僕の名はロリスだけど、どっちでも構わないよ」
 
 フランス人は細部にこだわらない寛容な精神を持つ。これもまた、もうひとつの正解である。

取材・文:結城麻里
 
【著者プロフィール】
パリ在住のジャーナリスト・翻訳家。フランス・フットボール界に幅広い人脈を築き、エメ・ジャケなど監督、フランク・リベリやズラタン・イブラヒモビッチなど選手のインタビュー経験も豊富。『ワールドサッカーダイジェスト』や『スポーツニッポン』などで活躍する。
 
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