「ドンナルンマ騒動」の各々の思惑と誤算…“ライオラ切り”はなぜ不可能か?

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2017年07月14日

ライオラもかなり焦ってジタバタした印象は否めない。

ミランのファッソーネCEO(右)とミラベッリSD(左)。ドンナルンマの契約延長にはかなり骨を折った。(C)Getty Images

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 一方のライオラは、一見するとかなりの損をしたようにも見える。
 
 延長拒否という強気の態度に出たにもかかわらず、マスコミ、そしてとりわけサポーターからの嵐のような非難、そしてドンナルンマ自身の意思に負けた形で、結局はミランとの契約延長に応じるという結末になった。これだけ移籍を騒ぎ立てながら結果的には残留に終わったというのは、これまでの彼のエージェントキャリアであまりなかったことだ。
 
 おまけにその過程では、モナコで2時間にも渡って言い訳を連ねるばかりの記者会見を開いたり(これも彼にしては異例の事態)、ジージョのSNSアカウントに「ドンナルンマ、ライオラ、昨日、今日、明日!」というポストを上げた後、慌てて取り下げて「ハッカーだった」と言い訳をしたり(誰も信じていない)、かなり焦ってジタバタした印象は否めない。
 
 ライオラにとってのファーストチョイスが、レアル・マドリー、マンチェスター・U、パリSGといったメガクラブへの移籍だったことは間違いない。
 
 ただし、その可能性が現実としてどれだけあったのかは分からない。一部ではマドリーのフロレンティーノ・ペレス会長と水面下で合意に達している、という報道もあったものの、真相は今では薮の中だ。パリSGから年俸1300万ユーロ(約16億6400万円)のオファー、という情報も100%信頼できるものではなかった。
 
 契約満了1年前というタイミングは、買い手側からすれば安値で買い叩く最大のチャンスであり、代理人にとってはそういうタイミングで移籍を世話した分、より高い仲介料を買い手に吹っかけることができるメリットがある。
 
 これまでズラタン・イブラヒモビッチ、マリオ・バロテッリ、そしてポール・ポグバなどのビッグディールを仕切ってきた、したたかなライオラは、そのタイミングを逃すまいと、あえてミランに揺さぶりをかけることで、買い手となりそうなメガクラブの反応を見たという側面もあったように思われる。
 
 そう考えれば、延長拒否宣言という強硬手段は、後で掌を返して契約を延長する可能性を残しつつ、メガクラブ移籍の可能性をできる限り追求するための一手として、それほど筋の悪いものではなかったとも言える。
 
 ライオラ自身の評判はこれでまたさらに落ちたわけだが、彼にとっては自分に、そして顧客に利益をもたらすために悪者になることなど何の問題もない。炎上商法のようなもので、悪い評判が立てば立つほど、結果的にクラブに対する交渉力が高まるという側面だってあるのだ。
 
 今回の契約更新では、ジージョの年俸を1.5倍に吊り上げ、アントニオも抱き合わせでミランに雇わせたという点で、ドンナルンマ家に対する義理は十二分に果たしている。
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