【黄金世代】第2回・遠藤保仁「コロコロPKの真実」(♯3)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年05月30日

ボールを奪う喜びを感じてる。新たな発見やね。

今季はアンカーでも起用され、新鮮さを感じているという。その技巧、気力、体力に、衰えは微塵も感じられない。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 こんな質問をしてみた。
 
 フットボーラー・遠藤保仁の最大の武器とはなんなのか。
 
 パス、FK&PK、視野の広さ、ゲームを読む眼、それとも無尽蔵のスタミナ? またしても回答は、微妙にズレていた。
 
「それはもう、ブレイン(脳)でしょ。身体能力がないから、そこで勝負するしかない。なんだかんだで最終的に辿りつくのは、止めて、蹴るのところ。どんなプレッシャーを受けても、どんなに狭いエリアでも、そこ。そこで普段と同じことができれば、あとは判断のスピードとか状況把握の質。つまり、ブレインが大事になってくる」
 
 そんな理論派の遠藤が、37歳にして新境地を開いた。

 現在のガンバは4-4-2を第1システムとして再び調子を上げているが、今季の序盤戦は3-1-4-2を多用。ヤットは珍しく、守備に比重を置くアンカーの役割を託された。同じ一枚でも、攻撃的に振る舞えたワールドユースでのそれとは大違いである。
 
「言ってみれば(バルセロナの)ブスケッツと一緒。敵陣のボックス内には入っていかないからね、滅多に。とにかく守備の時に走る距離が長くなって、戻ったりとか、相手に付いて行ったりとか、リアクションが多い。誰かがカバーしてくれれば前に行ってもいいんだけど、基本的には我慢してる。控えてる」
 
 その新たな役回りに、新鮮さと楽しさを感じているという。
 
「このポジションでやってあらためて、ビルドアップの大切さであったり、守備の喜び、ボールを奪う喜びとか、そういうのを感じてる。来たね、面白いよ。身体に刺激が来る。
 
 昔は常に、ダブルボランチでやってても一枚残して俺が攻めるってのがあったけど、前に出るのが少なくなったぶん、ボールを狩りに行くパワーを残せてるわけで、身体の動きも違うもんね。イメージしてるところで身体が付いてくるときと、そうでないときがあるんだけど、昔なら絶対に出なかったところで、最後の一歩が出るようになった。進化? いや、これは進化じゃない。新たな発見やね」

 
 長いキャリアのなかで、シーズンの大半を棒に振るような大怪我をしたことがない。無事、これ名馬。身体のケアを大切にしてきた賜物だ。
 
「科学的に落ちてきてるところって確実にあるし、そこを否定するつもりはない。でもいまでも走行距離はチームでも上のほうやし、負けたくない部分。体幹はけっこう意識してやってきて、バランス感覚を養いつつ、吹っ飛ばされない身体を作ろうと思って取り組んできた。大きくするんじゃなくて、芯を太くするトレーニング。その積み重ねだと思う」
 

 体幹トレーニングと言えば長友佑都が著書もあり有名だが、勝るとも劣らない知識があると?
 
「いや、それは長友のほうがだんぜん詳しい(笑)。体幹マニアやからね」
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