【黄金世代】第1回・小野伸二「ずばり、引退をどう考えている?」(♯4)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年05月08日

「あなたは、小野伸二が好きですか?」

かなりのロングインタビューとなったが、嫌な顔ひとつせず、どんな質問にも真摯にニコヤカに答えてくれた。あらためて、その人間性に惹きつけられた。写真:高橋茂夫

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 1997年の春、清水商グラウンドのベンチに座り、学ラン姿の小野と話した。新キャプテンに指名されたばかりで、決意に満ちた表情が印象的だった。
 
 ショートインタビューが終わり、握手をした別れ際だ。17歳の青年は、週刊サッカーダイジェスト編集部で高校サッカー担当になったばかりのわたし(26歳)に、こう言った。
 
「(年代別の)代表に選ばれているからと言って、いい選手とは限らない。そうじゃなくてもいい選手って本当にいっぱいいるんです。うちのチームにだっているし、静岡だけでもたくさん。そんな選手をひとりでも多く見つけて、紹介してください」
 
 がつーんと響いた。わたしは彼に感謝しなければならない。その後の取材活動においてもつねにあの言葉は立ち返るべき原点となり、いまでも心に深く刻まれている。
 
 はたしてこの天使は、あとどれくらい、サッカーファンを楽しませてくれるのだろうか。ほんの数分、数秒でもいい。これからも、ずっと観ていたい。
 
 最後に、あらためて訊こう。
 
「あなたは、小野伸二が好きですか?」
 

<了>
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

※5月下旬に配信スタート予定の連載第2回には、ガンバ大阪の生ける伝説が登場します。こうご期待!
 
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PROFILE
おの・しんじ/1979年9月27日生まれ、静岡県沼津市出身。小学校時代から天才少年と謳われ、13歳で年代別の日本代表に選ばれるなど異彩を放つ。清水商高時代はインターハイや全日本ユースでタイトルを獲得。1998年に鳴り物入りで浦和に入団し、そのシーズンのJリーグ新人王に輝く。99年のワールドユースで準優勝を飾ったが、その直後の大怪我で長期離脱。後遺症に苦しみ、翌年のシドニー五輪出場を逃がした。2001年夏からはフェイノールト(オランダ)に活躍の場を移し、UEFAカップ制覇など確かな足跡を残す。06年以降は浦和、ボーフム(ドイツ)、清水、ウェスタン・シドニー(オーストラリア)でプレー。そして14年春、札幌入団を果たした。04年のアテネ五輪にOA枠で出場し、ワールドカップは3度経験(98、02、06年)。国際Aマッチ通算/56試合・6得点。Jリーグ通算/209試合・72得点(うちJ1は180試合・63得点)。175㌢・76㌔。O型。データはすべて2017年4月20日現在。公式ブログはhttp://lineblog.me/shinjiono/
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