傲慢な権力者と離れ、公正さを取り戻すために…バロンドールがFIFAと決別した理由

カテゴリ:ワールド

フランソワ・ヴェルドネ

2016年10月26日

投票用紙は厳重に管理され、開票はごく少数で行なわれる。

FIFAバロンドール時代は受賞者発表前に3人の最終候補を発表していたが(写真は2015年度のもの)、これも今年から廃止された。(C)Getty Images

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 フランス・フットボール誌の単独主宰への再移行に伴う変更点は、他にもいくつかある。まず受賞者の発表はかつてのように年内になる。12月13日の予定で、各選手の得票結果や順位の発表も同じタイミングで行なう。
 
 投票の対象となるノミネート選手の人数も変わる。FIFAバロンドール時代は23人だったが、これが30人になる。リストを作成したのはフランス・フットボール誌の編集局員で編成された数人で、そのメンバーは必ずしも肩書きだけを基準に選ばれるのではなく、世界のフットボールの現状にどれだけ明るいかも重要視された。
 
 またFIFAバロンドール時代は、11月末~12月初旬に3人の最終候補者を発表していたが、このプロセスは今年から廃止となった。
 
 一方でこれまでとまったく変わらないのは、賞としての価値、そしてこの賞が帯びる使命だ。バロンドールの栄誉に輝くのは、国籍に関係なく、その年のプロフットボール界でもっとも優秀だった選手ひとり。責任は重大だ。
 
 投票権を持つのは、世界各国のジャーナリスト197人。そこにはアフガニスタン、ジンバブエといった、フットボールの世界では弱小とされる国の記者も含まれる。さらに今年5月にFIFAに加盟したジブラルタルとコソボのジャーナリストが、新たに加わる見込みだ。
 
 投票権を持つジャーナリストは30人の候補者リストからトップ3を選び出し、パリのフランス・フットボール誌に送付する。もちろん、情報が外部に漏れないよう、送られてきた投票用紙は厳重に管理され、開票はごく少数で行なわれる。
 
 新生バロンドール元年となる今年、はたして栄冠に輝くのは――。
 
文:フランソワ・ヴェルドネ
翻訳:結城麻里
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2016.11.03号の記事を加筆・修正。
 
【著者プロフィール】
地元のブザンソン大学とパリのジャーナリズム学院を卒業後、1993年に『フランス・フットボール』誌の記者に。2001年からは取材記者最高位のグラン・ルポルテールの地位にあり、現在はフランス代表や移籍マーケットなどを担当。189センチ・84キロのモデル体型で、カデ(15~16歳)のフランス代表歴を持つ。
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