傲慢な権力者と離れ、公正さを取り戻すために…バロンドールがFIFAと決別した理由

カテゴリ:ワールド

フランソワ・ヴェルドネ

2016年10月26日

ブラッターはバロンドールの名声と威信にあやかりたかった。

FIFAバロンドール時代の6年間はこのメッシとC・ロナウドが賞を独占。半ば人気投票化していた選考方法には批判が集まっていた。(C)Getty Images

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 今年から『フランス・フットボール』誌は6年続いたFIFAとのパートナーシップを解消し、ふたたびバロンドールを単独で主宰することになった。
 
 フランス・フットボール誌のオーナー企業で、バロンドールの所有権を持つ『グループ・アモリ』(以下アモリ)とFIFAの間で結ばれていた契約が満了を迎えたためだ。2010年に交わした5年契約が切れた昨年はそれを1年延長したが、今回は更新しなかった。もちろん、賞の名称も「FIFAバロンドール」から従来の「バロンドール」に戻ることになる。
 
 FIFAとの訣別はほぼ100%、アモリ側の判断によるものだ。バロンドールの選出方法を本来の形(世界各国のジャーナリストの投票により決定する)に戻すのが大きな目的で、FIFA加盟国の代表チームの監督およびキャプテンの投票はなくなる。また、バロンドールの権威と重要性をさらに高めることも、FIFAと袂を分かつ決断を下した理由のひとつだ。
 
 選出方法などを巡ってはFIFAとの間で話し合いが持たれたが、アモリ側の要望を承諾してもらえなかったという経緯もある。これは、FIFAの会長が代わった影響が小さくない。
 
 今年2月に新会長に就任したジャンニ・インファンティーノは、前任者のジョセフ・ブラッターよりも合理的な考えの持ち主で、バロンドールをFIFAで独占しようと目論んでいたフシがある。もちろん、アモリとしては到底承服できるものではない。
 
 そもそもブラッターにしても、バロンドールを自分の権力を誇示するために利用していた側面が否めない。例年、年明けの1月にスイスのチューリヒで開催されていた授賞セレモニーは過剰なほどゴージャスで、ブラッターは最終候補に残った3人のスタープレーヤ
ーとともにステージに立ち、得意満面の笑みを浮かべていたものだ。その豪勢すぎる授賞式にかかる費用は400万ドル(約4億円)ほどだった。
 
 言うまでもなくバロンドールは、創設したフランス・フットボール誌とアモリに帰属する賞であり、FIFAとのパートナーシップは実質的に財政面での委譲という関係だった。賞の所有権をFIFAに譲り渡すなどという話はまったく論外で、アモリのグループ内では検討したことすらない。
 
 ブラッターは1991年に設立した「FIFA年間最優秀選手賞」がバロンドールの陰に隠れ、選手にとっては二次的な賞にすぎなかったため、1956年創設のバロンドールの名声と威信にあやかりたかったのだ。
 
 どうやらFIFAは現在、バロンドールとの統合で事実上消滅したFIFA年間最優秀選手賞の復活を検討しているようだが、60年の歴史と伝統を誇り、世界最高峰の個人賞としてすべてのフットボーラーが夢見るバロンドールと同じ重みを勝ち取れはしないだろう。
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