地獄から天国へ――。「手のひら返し」でインテルを取り巻く空気が一変する

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2016年09月23日

一喜一憂せずクラブとしてのアイデンティティーを築けるか。

批判が賞賛に変わったデブール監督。最近はイタリア語でインタビューに答えるなど、気持ちに余裕が出てきた。写真:Alberto LINGRIA

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 この「手のひら返し」はともかく、イタリア・ダービー勝利がインテルを取り巻く空気を文字通り一変させたことは間違いない。それまではすべてのマスコミ対応を英語でこなしていたデブール監督は、試合後に『インテル・チャンネル』のマイクに対してたどたどしいながらもイタリア語で受け答えし、その後は続くエンポリ戦の前日会見、試合後のインタビューも含め、すべてをイタリア語に切り替えた。
 
 マスコミに対して張っていたバリアを緩め、よりストレートなコミュニケーションを取ろうという姿勢に方向転換したことは明らかだ。それだけ気持ちに余裕が出たということだろう。
 
 そして、ミッドウィークのエンポリ戦でも勝利を収め、首位ユーベと2ポイント差の3位タイに浮上した今、1週間前の「監督解任か?」から一転して、インテルの周囲では「スクデット」という言葉までが飛び交い始めている。
 
 もちろん、これもまた目先の結果がもたらした一時的な感情の起伏の結果でしかないことは明らかだ。インテルがモウリーニョ時代以降の6年間陥ったままの混迷から本当に抜け出すには、マスコミとサポーターの一喜一憂、そしてそれがもたらす巨大なプレッシャーを受け止めつつ、それに振り回されない明確なアイデンティティーと結束をチーム、そしてクラブが確立することが不可欠。新オーナーの蘇寧グループ、そして新監督のデブールの力量が問われるのはこれからだ。
 
文:片野道郎
 
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【著者プロフィール】
かたの・みちお/1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌や当サイトでも、ロッシ監督とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博す。
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