天才アタッカーの実像――久保建英とはいかなるプレーヤーなのか

カテゴリ:高校・ユース・その他

川端暁彦

2016年09月13日

南米出身FWのようなメリハリと日本人らしい献身性を兼備。

今夏の日本クラブユース選手権では、5得点で大会得点王に輝いた。中学3年生ながら、U-18大会で得点王に輝く偉業を達成。写真:石倉愛子

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 たしかに、ボールを前から追う運動量は少ないと言えば少ないが、一方で独特の感覚もある。
 
 まるで南米出身FWのようなメリハリ――。サボる時間帯もあるのだが、相手DFの油断やミスの気配を感じ取ると、瞬時にギアチェンジし、強烈なチェイシングを仕掛けるのだ。攻守の切り替えスピードは確実にアップしており、先頃行なわれたU-16代表合宿でも、失ったボールを「奪還」するシーンが何度となく見られた。
 
 さらに、ロングボールの競り合いやクロスボールへの飛び込みといった、おそらくバルサ時代には求められなかったようなプレーにも熱心に取り組むようになった。FC東京U-18で、佐藤一樹監督という厳しくも温かい師に出会い、良き先輩たちにも恵まれたなかで、日本人らしい献身性という武器も獲得しつつある。
 
 14歳から15歳という多感な年頃に、激変と言うほかない環境の変化に身を置いたのだ。精神的に難しい時期もあっただろう。だから、彼に関してなにより驚かされるのは、ボールを扱う技術や戦術的なセンス以上に、そのメンタリティなのだ。
 
 ちやほやする大人たちが周りにいて、同年代の中で頭ひとつ抜けた存在であるのは明らかなのだから、慢心してもおかしくないはずだが、そうした気配は微塵も伝わってこない。真摯に「もっと強く、もっと上手くなりたい」という想いで練習や試合に臨むそのメンタリティこそが、久保の最大の才能と言ってもいい。
 
 それは、この世界で大成するタレントたちだけが持ち合わせる、“ホンモノの資質”である。
 
文:川端暁彦(フリーライター)

※『サッカーダイジェスト』9月22日号(9月8日発売)より抜粋
 

9月8日発売号のサッカーダイジェストは「2020年東京五輪の旗手たち」。FC東京U-18で活躍する久保建英をはじめ、東京五輪で主役になりそうな選手たちを一挙紹介しています。

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