南米出身FWのようなメリハリと日本人らしい献身性を兼備。
たしかに、ボールを前から追う運動量は少ないと言えば少ないが、一方で独特の感覚もある。
まるで南米出身FWのようなメリハリ――。サボる時間帯もあるのだが、相手DFの油断やミスの気配を感じ取ると、瞬時にギアチェンジし、強烈なチェイシングを仕掛けるのだ。攻守の切り替えスピードは確実にアップしており、先頃行なわれたU-16代表合宿でも、失ったボールを「奪還」するシーンが何度となく見られた。
さらに、ロングボールの競り合いやクロスボールへの飛び込みといった、おそらくバルサ時代には求められなかったようなプレーにも熱心に取り組むようになった。FC東京U-18で、佐藤一樹監督という厳しくも温かい師に出会い、良き先輩たちにも恵まれたなかで、日本人らしい献身性という武器も獲得しつつある。
14歳から15歳という多感な年頃に、激変と言うほかない環境の変化に身を置いたのだ。精神的に難しい時期もあっただろう。だから、彼に関してなにより驚かされるのは、ボールを扱う技術や戦術的なセンス以上に、そのメンタリティなのだ。
ちやほやする大人たちが周りにいて、同年代の中で頭ひとつ抜けた存在であるのは明らかなのだから、慢心してもおかしくないはずだが、そうした気配は微塵も伝わってこない。真摯に「もっと強く、もっと上手くなりたい」という想いで練習や試合に臨むそのメンタリティこそが、久保の最大の才能と言ってもいい。
それは、この世界で大成するタレントたちだけが持ち合わせる、“ホンモノの資質”である。
文:川端暁彦(フリーライター)
※『サッカーダイジェスト』9月22日号(9月8日発売)より抜粋
まるで南米出身FWのようなメリハリ――。サボる時間帯もあるのだが、相手DFの油断やミスの気配を感じ取ると、瞬時にギアチェンジし、強烈なチェイシングを仕掛けるのだ。攻守の切り替えスピードは確実にアップしており、先頃行なわれたU-16代表合宿でも、失ったボールを「奪還」するシーンが何度となく見られた。
さらに、ロングボールの競り合いやクロスボールへの飛び込みといった、おそらくバルサ時代には求められなかったようなプレーにも熱心に取り組むようになった。FC東京U-18で、佐藤一樹監督という厳しくも温かい師に出会い、良き先輩たちにも恵まれたなかで、日本人らしい献身性という武器も獲得しつつある。
14歳から15歳という多感な年頃に、激変と言うほかない環境の変化に身を置いたのだ。精神的に難しい時期もあっただろう。だから、彼に関してなにより驚かされるのは、ボールを扱う技術や戦術的なセンス以上に、そのメンタリティなのだ。
ちやほやする大人たちが周りにいて、同年代の中で頭ひとつ抜けた存在であるのは明らかなのだから、慢心してもおかしくないはずだが、そうした気配は微塵も伝わってこない。真摯に「もっと強く、もっと上手くなりたい」という想いで練習や試合に臨むそのメンタリティこそが、久保の最大の才能と言ってもいい。
それは、この世界で大成するタレントたちだけが持ち合わせる、“ホンモノの資質”である。
文:川端暁彦(フリーライター)
※『サッカーダイジェスト』9月22日号(9月8日発売)より抜粋