天才アタッカーの実像――久保建英とはいかなるプレーヤーなのか

カテゴリ:高校・ユース・その他

川端暁彦

2016年09月13日

ノーゴールに終わった6月の国際大会では涙を見せた。

6月のインターナショナルドリームカップでは、納得のいく出来ではなく涙も見せた。悔しさもさらなる成長の原動力に。写真:安藤隆人

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 こうしたドリブルを繰り出せる選手を思い出そうとしてもなかなか出てこないのだが、数少ない類似タイプが、香川真司だろう。彼のドリブルには、高校時代から同質の「怖さ」があった。サイドではなく、敵に囲まれるリスクの高い中央で脅威を与えられるドリブル――。思えば香川もまた、ボールを引き出す感覚に抜きん出たものを持っていたし、その意味でも似ている部分は少なくないのかもしれない。
 
 両者に共通する「怖さ」が生まれるのは、それがシュートという選択肢につながっていくドリブルだから、とも言える。そして久保の本質はあくまでストライカーだ。敵2ライン間に入って味方の縦パスを引き出し、崩しの起点になって終わりではなく、そこからゴールを奪う点にこそ久保の真骨頂とこだわりがある。
 
 印象的だったのは、今年6月に行なわれたU-16インターナショナルドリームカップでの一幕だ。大会を通じてゴールに絡む仕事はしていた久保だが、結局はノーゴール。ひとつ年下というエクスキューズを挟めば及第点と言えるプレー内容だったが、本人は大会後に涙を見せた。結果についてハッキリと「満足できない」と断じ、大勝にも険しい表情を崩さなかった。このメンタルこそ、まさに点取り屋のそれだろう。
 
 シューティング技術の高さ、ゴール前での冷静さが生み出す決定力は、大会得点王に輝いた今夏のクラブユース選手権(U-18)でも証明済み。さらにU-16日本代表でも、久保が貴重な得点源であることは誰もが認めるところだ。利き足とは逆の右足のシュート練習にも熱心に取り組んでおり、その精度は確実に向上中。もはや左足を封じるだけでは止められない存在になりつつある。
 
 では、課題はなんだろうか。その問いに対して本人は、一貫して「フィジカル」という言葉を口にする。当たり負けしない肉体的な強さ、あるいはスタミナ面が不足していることは、自身も認めている。
 
 もっとも、高校生の中に混じっているから目立つのであって、中学生の大会に出ていれば、そうそう当たり負けすることもないはずだ。身体の使い方は巧みで、ボディバランスもいい。身長が少しずつ伸び、体格も徐々に変わってきた。本人に課題としての自覚がある以上、余計な心配は要らないのかもしれない。
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