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長谷川体制はグランパスに何を遺したのか。常に不運がつきまとった4年間で、もたらされた発展的な継続性を礎として積み上げていけば――

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2025年11月15日

長谷川監督だったから何とかなったと思う部分も

深刻だったFWの得点力不足。23年に16得点のユンカーも今季はここまでわずか1得点と期待に応えられず。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 こうした“老若”を問わず選手に成長を促す姿勢は自らにも向けられ、前述の3バックだけでなくモダンな戦術を取り込むことにも貪欲な指揮官でもあり、「健太さん自身から一番学んだのは、チャレンジしていく姿勢や自分をアップデートしていくところ。俺に要求するだけじゃなくて、あの人自身も体現していることだからこそ、言われて腹落ちしたし、説得力や納得感があった」と、稲垣はこれ以上ない敬意をこの名将へと向ける。

 結果的に名古屋での指揮最終章となった今季は、過去最も苦戦を強いられる、厳しい戦いが続いたが、これまでのことを思えば、長谷川監督だったから何とかなったと思う部分も小さくない。

 とにかくプラン通りにいかないのがこの体制の“あるある”で、ランゲラックというクラブレジェンドにして守りの要が移籍し、その後釜として元日本代表シュミット・ダニエルを獲得したまでは良かった。だが、前シーズン終盤で負った膝の怪我が長引き、プレシーズンキャンプはほぼ全休。チームは開幕戦で川崎に0-4で惨敗したことから歯車が狂い始め、開幕6戦未勝利という危機的な状況にも陥った。

 前年のヒーローだった三國がスランプに陥り、沖縄でのキャンプでは上々の仕上がりを見せていたチームの良いところがまったく出せず、そこからは応急処置の日々。リーグ初勝利となった3月29日の横浜FC戦を前にしたルヴァンカップで、シュミットが戦列に戻ってチームは息を吹き返したが、5月3日の国立での清水戦当日に再離脱し、8月に復帰も天皇杯の東京V戦で三度、負傷離脱。その間はベテランの武田洋平と覚醒したピサノが懸命にカバーしてくれたが、3人のGKを併用せざるを得ないシーズンというのは異例ではあり、名古屋のGKチームのハイレベルさを示す一方で、戦いの不安定さに影響がなかったといえば嘘になる。
 
 夏には藤井の復帰と木村勇大の獲得もあり、彼らをカンフル剤としてチームはどうにか浮上し、36節での残留を果たした。木村獲得を前後しては、レレの登録問題が発生し獲得を断念した“事件”はあったが、チームへの影響は獲得以前の話なので、それほど大きなものではなかったと考えていい。

 それより深刻だったのが、この4年間つきまとったFWの得点力不足で、今季もチームのトップスコアラーは稲垣で、それに次ぐのがマテウスの5得点だ。振り返っても24年は永井と稲垣の6得点、23年のみユンカーが16得点と躍動し、22年はマテウスの8得点が最高だった。

「優勝には50得点が必要」と常々長谷川監督は口にしていたが、その内訳としてはやはりFWの二桁得点が攻撃陣を牽引していく算段があった。チーム総得点は22年が30点、23年が41点、24年が44点であり、今季2節を残して42点なので、過去一番の得点数をマークする可能性はある。

 その意味で言えば、今季は過去最大の53失点を喫した守備が成績の足を引っ張った感は強く、その要因のいくつかは前述した通りだ。2025年の最高順位は13位。その位置に至るまでは降格圏か降格圏ギリギリをさまよった。

 この状況から残留を決めるのはそんなに容易なことではなく、試行錯誤に試行錯誤を重ねてたどり着いた勝点40で残留確定は、絶対値として評価はできなくとも、相対値としては仕事を果たしたとは言える。だが、それでは来季を見据えられる体制と評価するのは難しいというのが、清水社長の言う「総合的な判断」ということになるのだろう。
 
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