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長谷川体制はグランパスに何を遺したのか。常に不運がつきまとった4年間で、もたらされた発展的な継続性を礎として積み上げていけば――

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2025年11月15日

「一言でいえば“やっぱ健太さん”」

昨季はルヴァン杯優勝。クラブに5つ目のタイトルをもたらした。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 しかし24年シーズンには昨今のJリーグの宿命として、森下も藤井も海外移籍を果たし、タイミングの悪いことに丸山祐市と中谷進之介という名古屋の堅守を支えた名DFたちもチームを去った。最終ラインが総入れ替えとなってはチーム力の維持は難しく、無得点での開幕3連敗など苦悩のシーズンスタートとなった。

 前年16得点のユンカーに加え、10得点の山岸祐也とパトリックを揃えた充実のFW補強も、キャンプ序盤で山岸が負傷離脱しプランが崩壊。山岸とユンカーの相性が良かっただけにチームにとっては大打撃で、しかも山岸はその後に二度の負傷離脱をするなど災難の一年に見舞われた。

 三國ケネディエブスの急成長がなければ守備陣も危うかったところ、この大器の覚醒によって藤井移籍の穴は何とか埋まり、中盤戦以降は指揮官曰く「ルヴァンモード」でカップ戦制覇に全精力を注ぎこんで見事に目標達成。準決勝での広島との死闘は今も語り草で、さらなる激闘となった新潟との決勝戦は、この年の名古屋が選ばざるを得なかったピーキーなチームのチューニングが見事にはまった恐るべき試合だった。

「カップ戦に強い」と言われると長谷川監督はあまり良い顔をしないが、一発勝負のトーナメントの勝ち方、勝負勘の鋭さはこの男ならではのもの。4年間の苦楽を共にした稲垣祥は「一言でいえば“やっぱ健太さん”」と表現し、その心を「“勝負だ”となった時のスイッチの切り替わり方、そういう感覚が凄い」と感嘆した。

 さすが就任時に「斬るか斬られるかの勝負がしたい」と言った監督である。それと同時に理論派でマネジメント力の高い指揮官でもあるのが面白い。若手の積極起用も多かったが、選抜基準は練習でのパフォーマンスで、使いたいと思わせるプレーを見せれば、10代だろうが高校生だろうがしっかり出場機会を与えた。
 
 多くの才能を育て上げた“目利き”は確かで、前述の森下や藤井、三國、今季もピサノアレクサンドレ幸冬堀尾や森壮一朗といった若者をJリーグで使える戦力に仕立て上げ、ピサノはリーグデビューから1か月でA代表に抜擢されるまでに大きく育った。

 育てる力はこの指揮官の代名詞でもあり、しかも若手に限らないのが凄いところだ。その代表格が稲垣で、もともと得点力もある潰し屋ボランチとしての定評はあったが、長谷川監督はさらにこのボランチをセントラルMFへとランクアップさせようと発破をかけた。

「健太さんがいなかったら、たぶんいま自分はこうやってJ1のピッチで試合に出続けることはできなかった」とまで言うから相当だ。稲垣はこの4年間でMFとしてのベースの質を高め、得点力をさらに向上させ、さらにはコンディショニングの部分にもアドバイスを受けて今季はパフォーマンスもリブート。現在9得点は21年に記録したキャリアハイを更新する驚異の数字であり、ピサノとともにA代表としてE-1選手権に出場し、全3試合に出場するなど主力として重宝された。
 
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