「（２失点目の時は特に）メンバーも多く変わって、相手もやる気をなくしていた部分があった。だからこそもう少し締めてやらなくてはいけなかった」
 
　そう吉田が語ったように、６ゴールを奪った後のやや緊張感の抜けた守備は大きな反省材料と言える。
 
　指揮官も「リラックスしてしまったのか、２失点はいけなかった」と振り返る。
 
　特に２失点目は原口のパスミスが原因とはいえ、３月のワールドカップ・２次予選のシリア戦で問題になったカウンターから決められたものだった。緊張感が欠けていたと言えばそれまでだが、攻撃に出た際のリスク管理の低さは前半から見られた。
 
　例えば長友が攻め上がった際の裏のスペースをブルガリアの10番I・ポポフに何度か狙われていた。もしパスを出されていれば、ピンチにつながるであろうシーンは数回あったのだ。
 
　後半立ち上がりには右サイドでボールを回していた際に、逆サイドの長友にハリルホジッチ監督が「ユウト！」と大声を張り上げるシーンがあった。これは恐らくカウンターに備えた絞りの指示だったのだろう。
 
　今回のブルガリア戦や２次予選で戦った国々に対しては、ある程度ボールを持つことができ、鋭いカウンターを浴びるリスクも高くなかった。ただ、以前から「カウンターへの対応は考えなくてはいけない」（吉田）と守備陣は語っていただけに、修正がなされていない点は大きな不安を感じる。
 
　加えて非常にパフォーマンスが悪かったブルガリアに対し、２点を失った現実はもっと重く受け取るべきだろう。
 
　ただ、一方でGKの川島が１年ぶりに代表のピッチに戻ってきた点は明るい材料として捉えたい。西川、東口を含めた熾烈な正守護神争いはチームに活気をもたらしてくれるはずだ。
 
取材・文：本田健介（サッカーダイジェスト編集部）