6月3日/豊田スタジアム
実際、ハリルホジッチ監督も2失点に関しては不満を漏らしていた。
「我々はもう少しブロックを管理したほうが良かったかなと思います。さらにレベルの高い相手になると、今日のようなブロックではいけない。今日はブロックをしっかり作ってから縦に行かせたかった。特に、真ん中ではなくサイドでプレスをかけたかった。敵をサイドに誘って、そこからプレスをかけたかったんです」
前半に限れば、連動した守備はできていた。最終ラインが高いラインを保った状態で前線からのプレスがはまり、少し攻め込まれた時間帯(前半の15~25分ぐらい)を除けば危なげなかった。
問題は後半だろう。宇佐美のゴールで6-0となって集中力が途切れたのか、59分にM・アレクサンドロフにゴールを許すと、終盤の82分にはチョチェフにネットを揺さぶられる。いずれもミスが絡み、マークがルーズになっての失点だったが、そこには〝運動量の低下″という側面が見え隠れする。
前半からあれだけ飛ばせば、後半に入って運動量が落ちるのは当たり前。実際、前からプレスをかけようとしてもチーム全体がやや間延びし、結果的にカウンターを食らってしまった。守備が乱れていた事実は、長谷部のコメントからも分かる。
「失点以外のところでも危ない場面はあった。ブロックは作れているかもしれないけど、人に行けていない部分はあったし、修正するところはある。ブルガリアは途中から出てきて、相手が良くなってからの対応の仕方に問題があります。1失点目も2失点目も、判断ミスが重なっての失点だったので」
なにより気になるのは、3月のシリア戦と同じような展開だったということだ。前半に飛ばして、60分あたりから失速する。その失速を境に、いくつものピンチを招く……。シリア戦では失点こそしなかったが、後半だけで3~4回の決定機を与えている。
ブルガリア戦にしても一度ならず二度もゴールを決められたのだから、偶然のひと言では済まされない。今の日本にはおそらく、ハイプレスのような守備を90分こなす体力や技術がないのだろう。ならば、状況次第で引いて守る手もあるのではないか。相手の出方によって臨機応変に振る舞える柔軟性が、今後は求められそうだ。
ブルガリア戦の最初の失点は59分だったという突っ込みはさて置き、〝魔の60分以降″の戦い方がハリルジャパンの進化の鍵を握っていると言ってもいい。