＜コロンビア（ハメス・ロドリゲス）＞

　２年前のブラジルW杯では、６ゴールを挙げて大会得点王に輝いた。攻撃を組み立て、チャンスを作り、自ら貴重なゴールを決める「モダンな背番号10」を表現したハメス・ロドリゲスは、一躍時の人となった。
 
　大会後にはレアル・マドリーに引き抜かれ、スーパースターへの階段を昇り始めた。１シーズン目はインサイドハーフとして新境地を切り拓き、得点も２桁（13点）に達するなど、世界一のクラブでも不動の10番として君臨するかと思われた。
 
　しかし昨シーズンは、状況が激変。システムの変化もあって、フィットするポジションを失い、冴えないプレーが続く。そのうち、私生活の乱れなどが取り沙汰されるようになり、シーズンが終盤に差し掛かる頃には、オフでの退団が決定的と報じられることとなった。
 
　悪い流れを払拭するため、あるいは移籍市場を見据えて自身の価値を高めるためにも、今夏、アメリカで再び輝きを放ちたいところだ。
 
　代表では、今年３月に行なわれたロシアW杯予選２試合（ボリビア戦・エクアドル戦）で連続して先制ゴールを挙げるなど、存在感を示している。
 
　同様にこのW杯予選の直近２試合で３点を挙げている他、低迷するクラブ（ミラン）でひとり気を吐いたカルロス・バッカらとともに、背番号10にしてキャプテンを務めるようになった24歳が、コロンビアの攻撃力を飛躍的に高められるかが注目される。

＜ウルグアイ（ルイス・スアレス）＞

　メッシ、ハメスとともに大会の目玉選手として挙げられていたウルグアイのルイス・スアレスだが、５月22日のコパ・デル・レイ決勝（セビージャ戦）で右大腿部の肉離れを起こし、全治１か月の診断を受けてしまった。
 
　大会出場は絶望、決勝トーナメントから復帰、あるいはグループリーグ最終戦から出場と、様々な憶測が駆け巡っているが、いずれにせよ彼がピッチに立ったとしても、ベストの状態からは程遠いものとなるのは間違いない……。
 
　瞬間的に相手DFの裏に飛び出す動きや、激しいチャージを受けても体幹の強さとバランスの良さでこれを堪えてフィニッシュに持ち込むプレーを見せるのは、完調でなければ難しい。
 
　ウルグアイにとっても大きな痛手だ。今シーズン、バルサで40ゴールを挙げてリーグ得点王に輝いたスアレスが不在となれば、チームの得点力は大きく下がる。最近はキャプテンも務めていただけに、あらゆる影響があるだろう。
 
　これで脚光を浴びるのが、同じFWのエディンソン・カバーニ（パリSG）だ。今シーズン、リーグアンでは19ゴールを挙げたストライカーは、今年の代表戦２試合（ブラジル戦・ぺルー戦）で連続得点を記録しており、今大会は得点王候補のひとりに挙げられている。
 
　スアレスがいない試合では、マークがカバーニに集中することになるが、その状況でもゴールを重ねることができるか。彼にとっては、真価を問われる舞台となる。
 
　もちろん、ゴールを奪うのは前線の選手だけでない。その意味で、セットプレーで抜群の強さを発揮するCBディエゴ・ゴディンは、守備の要というだけでなく、攻撃においても重要な役割を担うことになるかもしれない。
 
　また今シーズン、序盤戦のフィオレンティーナの快進撃を中盤で支え、今年代表初キャップを刻んだマティアス・ベシーノのような新鋭の活躍も期待される。