岡崎はビッグクラブで輝けるか? イギリス”3大都市”の番記者がジャッジ

カテゴリ:海外日本人

田嶋コウスケ

2016年05月11日

「指揮官の寵愛を受けるレスターを離れる理由はない」(ダニエル・テイラー記者/『ガーディアン』紙)

守備のタスクを重んじるシメオネ監督は気に入りそうだが、レスターを離れる理由はない。(C)Getty Images

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「指揮官の寵愛を受けるレスターを離れる理由はない」
(ダニエル・テイラー記者/『ガーディアン』紙)

「シンジは、私の息子である」
 
 岡崎について、ラニエリ監督がこんな風に評したことがあった。親愛なる我が息子――。まさに最大級の賛辞であり、イタリア人指揮官がいかにこの日本代表FWを愛しているかが伝わってくる。
 
 岡崎は「ラニエリ・サッカーの申し子」と言っていい。「レスターは、誰かひとりの力で勝ち進んでいるわけではない。チーム全員の力を集結して戦っているのだ」。指揮官はことあるごとにそう説くが、献身性と利他的なメンタリティを備え、独り善がりなプレーを滅多に見せない岡崎は、そんな〝レスター魂〞を体現している選手と言えよう。
 
 もちろんストライカーとして、貪欲にゴールも目指す。だからこそ、ラニエリは惜しみない愛情を注ぐのだ。
 
 ピッチ上での働きも、極めて効果的である。スペースを見つければ果敢に1・5列目から飛び込み、ピンチになれば自陣深い位置まで戻って守備陣を助ける。34 節終了時で5ゴールは物足りない成績ながら、その事実を踏まえても、運動量とワークレートでレスターの大躍進に多大な貢献をしたと断言できる。
 
 エースのヴァーディーも、2トップのパートーナーが岡崎でなければ、あれほど得点を量産できたか分からない。
 
 ならば、ビッグクラブでも岡崎は活躍できるのかと問われれば、現状では難しいと言わざるをえない。最大の理由は、ゴールの少なさ。少し乱暴な言い方をすれば、得点数を増やさないかぎり、ビッグクラブは触手すら伸ばさないだろう。30歳という年齢もネックだ。
 
 もちろん、守備のタスクを重んじるシメオネ監督のアトレティコなど、戦術的側面から岡崎の獲得に動くクラブもなくはないだろうが、ここで私が強調しておきたいのは、監督に高く評価されてこそ、サッカー選手の価値は決まってくるということだ。
 
 ラニエリの寵愛を受ける岡崎が、今ここでレスターから飛び出して行く理由は、なにひとつない。
 
文:ダニエル・テイラー(ガーディアン/マンU&マンC番記者)
PROFILE 高級紙『ガーディアン』、日曜版の『オブザーバー』でサッカー主筆を務める。プレミアリーグやCLのほか、イングランド代表も取材。マンチェスター・Uとノッティンガム・フォレストに関する著作が好評だ。
 
取材・翻訳・構成:田嶋コウスケ(フリーライター)
 

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