岡崎はビッグクラブで輝けるか? イギリス”3大都市”の番記者がジャッジ

カテゴリ:海外日本人

田嶋コウスケ

2016年05月11日

「ビッグクラブ移籍でも、立ち位置は『サブ』だろう」(ノースクロフト記者/『サンデー・タイムズ』紙)

献身性は備えている岡崎だが、決定的な仕事が少なく、ビッグクラブでは「サブ」だろう。(C)Getty Images

画像を見る

「ビッグクラブ移籍でも、立ち位置は『サブ』だろう」
(ノースクロフト記者/『サンデー・タイムズ』紙)

 間違いなく岡崎は、今季のレスターの大躍進を支えたキーパーソンだ。
 
 私が注目したのは、サッカーIQの高さ。特に守備時におけるボールホルダーへのチェイシング、そのタイミングが秀逸で、彼を中心にしたプレスはレスターの大きな武器だった。
 
 しかも、エネルギッシュに動き回ってはいるが、頭の中は常に冷静。巧みに相手をサイドへと追い込むだけでなく、チャンスと判断すれば、猛然と寄せてマイボールにする。そして、そこからレスターが得意とする高速カウンターへつなげるのだ。
 
 前線でコンビを組むヴァーディーとの補完性も高く、彼がインテリジェンスに溢れた選手であることは、プレーを見てすぐに分かった。
 
 そして、ニューカッスル戦でのオーバーヘッドによるゴール。あれはレスターファンのみならず、イングランドのサッカーファンの間でも長く語り継がれるであろう「ビューティフル・ゴール」だった。
 
 あの試合はウィークデー(月曜日)に唯一開催された。つまり英国中の注目を集めた試合で、岡崎は豪快にネットを揺らしたことになる。「OKAZAKI」の名を広く知らしめるには、十分過ぎる一撃であっただろう。
 
 彼の最大の魅力はやはり、ワークレート(仕事量、仕事率)と頭の良さにある。そこに目をつけたビッグクラブが獲得に動く可能性はゼロではないが、しかし仮に実現したとしても、立ち位置は「サブ」だろう。
 
 理由は極めてシンプル。ビッグクラブのFWとしてプレーするには、ゴールやアシストなど得点に直結する働きが少ないからだ。
 
 34節終了時で5ゴールという成績は正直、物足りない。たとえハードワークや献身性、利他性を備えていたとしてもだ。
 
 今、多くのビッグクラブが実践しているポゼッションサッカーで、岡崎の持ち味は活きにくいように思う。激しいプレスや豊富な運動量を武器とする彼のプレースタイルは、レスターのようなカウンターサッカーにこそ適しているはずだ。
 
文:ジョナサン・ノースクロフト(サンデー・タイムズ/リバプール&エバートン番記者)
PROFILE 高級紙『サンデー・タイムズ』のエース記者。分析記事やインタビューを中心に執筆し、『BBC』や『スカイ・スポーツ』などサッカー番組にも多数出演。02年のワールドカップで訪れた日本をこよなく愛す。

取材・翻訳・構成:田嶋コウスケ(フリーライター)
【関連記事】
【セルジオ越後の天国と地獄】同じ日本人として、岡崎慎司の活躍を誇りに思うべきだ
【移籍専門記者の秘話】マドリーはCL準決勝敗退ならジダンを解任し、アッレグリを招聘する算段だった
知られざる岡崎の成長秘話 【ルーツ探訪】岡崎慎司――磨き抜いた“サムライ・スピリット”
【レスター】プレミア新王者の知られざるホームタウンの魅力。日本人の岡崎慎司と外国人オーナーが愛される理由
サッカーダイジェストのプレミアリーグ担当がシーズン徹底総括! Vol1――レスター優勝の要因&プレミア1年目の岡崎評は?

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ