「発端はL・ダミアンの獲得だった」ペレやネイマールを輩出した名門サントスはなぜ初めて2部に降格したのか。ブラジル人記者が明かす失墜の舞台裏【現地発】
カテゴリ:ワールド
2023年12月14日
「今のサントスはセリエBにも値しない」
こうした問題の根底にあるのは、ずばり金がないからだ。ブラジルのチームは大多数が経済的問題を抱えているが、中でも特にサントスはひっ迫している。そしてその問題の発端の一つは、川崎フロンターレでプレーしていたレアンドロ・ダミアンなのだ。
2013年末、サントスはインテルナシオナウからL・ダミアンの獲得を望んでいた。彼のパスを有するのは投資ファンド会社ドイエン(ドイエンはその後脱税や裏金問題でFIFAからサッカー関係の取引を停止させられている)で、彼らの示す金額はとてもサントスには払えなかった。
しかしドイエンはサントス自身に投資話を持ちかける。ドイエンがサントスに出資し、その金でサントスは1300万ドルでL・ダミアンを獲得することにした(その後、この金額はなぜか1800万ドルに跳ね上がり、マネーロンダリングも疑われている)。これは相当のスター選手に払われる金額である。とにかく鳴り物入りでサントスにやって来たL・ダミアンだが、期待に応えることができず、結局は1年でレンタルされることになった。
L・ダミアンが去ったことでドイエンはサントスへの出資を止めたが、支払い義務は残る。しかしサントスのみの力では払えない。支払いは遅延、裁判となり、ドイエンは利息も含めサントスに2700万ドルの支払いを求め、最終的には1500万ドルを3回に分けて支払うことになった。しかし3回目の1500万ドルをサントスは支払はない。
サントスは金がないと主張。ただ、その前にロドリゴをレアル・マドリーに売っている。本当に資金がないのかどうかは我々には知る由もないが、裁判所は罰として再び1500万ドルを払うよう命じた。こうして新スタジアムをも建てられそうな金額を、サントスはこの一件で失ってしまったのだ。
2013年末、サントスはインテルナシオナウからL・ダミアンの獲得を望んでいた。彼のパスを有するのは投資ファンド会社ドイエン(ドイエンはその後脱税や裏金問題でFIFAからサッカー関係の取引を停止させられている)で、彼らの示す金額はとてもサントスには払えなかった。
しかしドイエンはサントス自身に投資話を持ちかける。ドイエンがサントスに出資し、その金でサントスは1300万ドルでL・ダミアンを獲得することにした(その後、この金額はなぜか1800万ドルに跳ね上がり、マネーロンダリングも疑われている)。これは相当のスター選手に払われる金額である。とにかく鳴り物入りでサントスにやって来たL・ダミアンだが、期待に応えることができず、結局は1年でレンタルされることになった。
L・ダミアンが去ったことでドイエンはサントスへの出資を止めたが、支払い義務は残る。しかしサントスのみの力では払えない。支払いは遅延、裁判となり、ドイエンは利息も含めサントスに2700万ドルの支払いを求め、最終的には1500万ドルを3回に分けて支払うことになった。しかし3回目の1500万ドルをサントスは支払はない。
サントスは金がないと主張。ただ、その前にロドリゴをレアル・マドリーに売っている。本当に資金がないのかどうかは我々には知る由もないが、裁判所は罰として再び1500万ドルを払うよう命じた。こうして新スタジアムをも建てられそうな金額を、サントスはこの一件で失ってしまったのだ。
サントスの会長だったカルロス・ルエダは「すまない。この汚点は生涯私に付きまとうだろう」という言葉を残し、姿をくらました。もし彼が最終戦に来ていたら、きっとサポーターに袋叩きいたはず、というのが大勢の意見だ。ちょうど会長選の時期で、前会長不在のまま投票が行なわれ、12月9日にテイシェイラが新会長に選ばれた。彼は過去に何度がサントスの会長を務め、チームをブラジルチャンピオンに率いた経験を持つ。
そのテイシェイラも「今のサントスはセリエBにも値しない」と嘆く。また1月の最初の理事会では「セリエBでは背番号10は使用しない」という案を定義するつもりだともいう。
栄光のペレの背番号を汚したくないのだ。サントスのカオスはまだまだ続きそうだ。
文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
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そのテイシェイラも「今のサントスはセリエBにも値しない」と嘆く。また1月の最初の理事会では「セリエBでは背番号10は使用しない」という案を定義するつもりだともいう。
栄光のペレの背番号を汚したくないのだ。サントスのカオスはまだまだ続きそうだ。
文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
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